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研究課題Research Subjects

2023年度

*研究代表者名のアルファベット順

企業法制におけるサステナビリティ

SDG1 アイコン SDG8 アイコン SDG12 アイコン

研究代表者:舩津 浩司(法学部 教授)

研究概要

現在、企業法制は大きな変革期にある。企業のあり方を大きく左右する会社法制においては、従来、企業活動はその資金の出資者である株主の利益の増大を目的として活動すべきであるとする考え方が一般的であった。しかしながら、そのような企業活動に対する目標設定は、企業が社会において大きな存在感を示すようになった現代において、全世界の社会全体への悪影響を与えているとの指摘がある。すなわち、企業が自らの利益拡大のみを考える結果、とりわけ企業がその本拠地以外の外国で活動するに際して、本拠地では行わないような経済的搾取(目標1、目標10)・児童労働(目標8)等の人権侵害や有害物質の排出などの環境破壊(目標12・14・15)を安易に行い、負の外部性を社会へ押し付けているというものである。このような状況に鑑みて、企業にサステナビリティに配慮した経営を求める声も上がっている。
本研究は、諸外国における、企業法制(とりわけ企業の利益獲得を第一義とする会社法制)とサステナビリティとの法的な関係についての議論を整理したうえで、わが国の企業法制におけるサステナビリティの位置付けを明らかにすることを目的とするものである。

研究成果

従来、企業活動はその資金の出資者である株主の利益の増大を目的として活動すべきであるとする考え方が一般的であったものの、そのような企業活動に対する目標設定は、企業が社会において大きな存在感を示すようになった現代においては、全世界の社会全体への悪影響を与えているとも考えられることから、企業にサステナビリティに配慮した経営を求める声も上がっている。本研究では、企業法制(とりわけ企業の利益獲得を第一義とする会社法制)と環境保護・人権保護等を含むサステナビリティとの法的な関係を探るべく、EUおよびEU加盟国の一つの例としてドイツの法制における議論を分析した。具体的には、EU指令として、①サステナビリティ報告指令と②サステナビリティについてのデューディリジェンス指令の動向について調査し、これらのEU指令とドイツ国内法との関係を整理するとともに、ドイツにおける企業法制におけるサステナビリティの位置付けをめぐる学説の理論動向を検討した。また、金融の分野における最近の立法例として2023年成立のドイツの「未来金融法」を分析した。

関連するSDGs

1「貧困をなくそう」
8「働きがいも経済成長も」
12「つくる責任 つかう責任」

「誰一人取り残さない法的救済セーフティネット」の構築を目指して:公正・平等・教育の視点から

SDG4 アイコン SDG10 アイコン SDG16 アイコン

研究代表者:川嶋 四郎(法学部 教授)

研究概要

現在の日本民事司法制度における最も重要な課題の一つが、「民事裁判のICT化」である。これは、裁判所における手続全体(民事訴訟、民事執行、民事保全、家庭裁判所手続、倒産処理手続等)を電子化するものであり、インターネットを通じた手続実現を可能にするプロジェクトである。確かに、コロナ共生社会における画期的な法改革であり、法的救済セーフティネットの構築のための重要な一歩であるが、しかし、先進諸国と比較して周回遅れの現状や一般市民等に対する配慮不足は否めない。たとえば、デジタル弱者に対する配慮や当初の検討項目に存在した障がい者支援・本人訴訟支援のICT化等は先送りされており、それにもかかわらず、優先審理を認める不平等な手続さえも創設されている。「誰一人取り残さない民事裁判」への志向が欠落しているだけではなく、他の各種紛争解決手続との連携も欠落しており、司法内手続格差を助長する危惧さえ現実化しつつある。
そこで、本研究では、「誰一人取り残さない法的救済セーフティネット」(綻びのない法的救済システムの構築)という正義に適った公正で強靱な制度(→<SDGs.16>公正)を創るために、法の下の平等(→<SDGs.10>平等)を実質化し、かつ、その普及と支援のための法教育・法学教育・法曹養成教育等(→<SDGs.4>教育)の充実に資する具体的な提言を行うことを目的としたい。

研究成果

近時の民事裁判のICT化では、民事手続の電子申立ての義務化は、弁護士・司法書士に限定され、日本には本人訴訟が多いにもかかわらずデジタル弱者に対する配慮や当初の検討項目に存在した障がい者支援・本人訴訟支援等は先送りされた。しかも、ネット利用の場合には一定の要件の下で優先審理を認める不平等・公正な手続さえも新法に挿入された。ICT利用の義務化が法律専門職に限定されていることは、法律専門職利用への誘導の意図はともかく、司法アクセスの観点からは、アクセス格差の助長を促し、かつ、政府の一般市民のICT利用をサポートする義務を背景に押しやる可能性がある。既にインターネットを通じた民事司法制度を構築している諸外国の民事裁判で目指されている「誰一人取り残さない民事裁判」への指向が、日本では全く欠落しているだけではなく、日本には、その他の各種紛争解決手続との連携的システム構築志向も欠けており、司法内手続格差助長の危惧さえ現実化しつつあることも明らかとなった。本研究では、主として、著作や論文を通じて、「誰一人取り残さない法的救済セーフティネット」、つまり「綻びのない法的救済システムの構築」という、正義に適った公正で強靱な制度(→<SDG.16>公正)を創るために、法の下の平等(→<SDG.10>平等)を実質化し、かつ、その普及と支援のための法教育・法学教育・法曹養成教育等(→<SDG.4>教育)の充実に資する具体的な提言を行う内容の研究を遂行することができた。

関連するSDGs

4「質の高い教育をみんなに」
10「人や国の不平等をなくそう」
16「平和と公正をすべての人に」

再生可能資源からつくるスマート高分子材料

SDG9 アイコン SDG12 アイコン SDG15 アイコン

研究代表者:古賀 智之(理工学部 教授)

研究概要

繊維やプラスチック、電子材料など、高分子材料は我々の生活と密接に関わっている。近年の高分子精密合成技術の著しい発展は、構造/形状/分子量/多分散度/モノマー配列等の制御を可能にし、機能性高分子設計に多様性をもたらしている。一方、合成高分子の多くは、限りある石油資源に基づいて開発されており、大量生産/消費に起因する海洋汚染(マイクロプラスチック)問題なども生じている。環境や生態系への負荷が低く、持続可能な生産を実現した新しい環境調和型高分子材料の開発が望まれている。
刺激応答性高分子は、スマート高分子として知られ、周囲の環境に応答してナノ構造や物性が変化する。薬物送達、細胞足場、アクチュエータ、バイオセンサー、バイオセパレーション材料などの幅広い産業利用が期待されている。本研究では、上記課題を解決しうる新素材として、タンパク質を構成するアミノ酸を構成分子とした革新的な温度応答性高分子の開発とその体系化を行う。アミノ酸を利用する特徴は、(1)多様な構造(標準アミノ酸で20種)及びそれに基づく機能がデザインできる (2)再生可能資源である (3)環境適合性・生分解性に優れることである。SDGsを達成するための新しいスマート高分子システムを確立する。

研究成果

繊維やプラスチックなど、高分子材料は我々の生活と密接に関わっている。近年の高分子合成技術の著しい進歩は、分子量/多分散度/形状/モノマー配列等の制御を可能にし、機能性高分子設計に多様性をもたらしている。一方、合成高分子の多くは限りある石油資源に基づいており、大量生産/消費に起因する海洋汚染(マイクロプラスチック)問題なども生じている。新しい環境調和型高分子材料の開発が望まれている。こうした背景から、タンパク質を構成するアミノ酸に着目し、これらを基盤とする新しいスマート高分子システムの開発を進めた。アミノ酸を利用する特徴は、(1)多様な構造(標準アミノ酸で20種)及びそれに基づく機能がデザインできる (2)再生可能資源である (3)環境適合性・生分解性に優れることである。本研究では、親水-疎水性度の異なる10種類のアミノ酸由来ビニルモノマーの調製(ライブラリー構築)とリビングラジカル重合(RAFT/ATRP)法による精密重合に成功した。これらの水中でのLCST挙動を評価し、温度応答性に及ぼす構成アミノ酸の親水-疎水性度、分子量、高分子形状の影響を明らかにした。また、LCST/UCST型アミノ酸ポリマーからなるインジェクタブル/形状固定・記憶性/自己修復性ハイドロゲルの開発にも成功した。低環境負荷や持続可能な点などSDGsにマッチした新しいスマート高分子システムとして重要である。

関連するSDGs

9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
12「つくる責任 つかう責任」
15「陸の豊かさも守ろう」

ネクスト「深山大沢」の教育・社会への展開──良心に根ざしたコスモロジーの拡張

SDG4 アイコン SDG7 アイコン SDG13 アイコン
研究代表者:
小原 克博(神学部 教授)
研究分担者:
後藤 琢也(理工学部 教授)
稲岡 恭二(理工学部 教授)
林田 明(理工学部 教授)
野口 範子(生命医科学部 教授)
渡辺 公貴(生命医科学部 教授)
渡辺 政隆(生命医科学部 特別客員教授)
元山 純(脳科学研究科 教授)
武藤 崇(心理学部 教授)
石川 正道(高等研究教育院 特別客員教授)
桝 太一(ハリス理化学研究所 助教)
金津 和美(文学部 教授)
八木 匡(経済学部 教授)
和田 喜彦(経済学部 教授)
飯塚 まり(ビジネス研究科 教授)
服部 篤子(客員教授)
西山 啓一(学校法人 同志社 常務理事)
岩渕 泰晶(国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)安全・信頼性推進部 システム安全・軌道利用安全推進ユニット 主任)
研究概要

本研究プロジェクトは、2022年度に採択された研究課題「ネクスト「深山大沢」プロジェクト──良心の概念拡張と新たな実践」を継承し、同志社ならではのユニークな視点と方法にいっそう磨きをかけつつ、新たに次の3点を中心に前プロジェクトを発展させることを目的とする。
(1)宇宙開発とSDGs(JAXAとの連携)
SDGsの諸課題を長期的な視点で解決していくために、宇宙研究・宇宙開発との関係を欠くことはできない。新島襄は「大学は智識の養成場なり、宇宙原理の講究所なり」(「私立大学設立の旨意、京都府民に告ぐ」1888年)と語った。新島が大学の理想像を語る際、「深山大沢」のみならず「宇宙」もまた重要なキーワードであった。新島のコスモロジーを現代において受けとめるため、JAXAと連携し、宇宙開発とSDGsの領域における新たな成果を出すことを目指す。
(2)次世代教育への展開(法人内緒学校との連携)
SDGsの目標達成のために、これからの社会や地球環境に対し責任を負うことになる次世代への教育はきわめて重要である。そのために、本プロジェクトは学校法人同志社の緒学校との連携をはかる。
(3)社会への展開(産官学の連携、サイエンスコミュニケーションの実践)
カーボンニュートラル実現のために重要な役割を担っている産業界と連携する。また、適切な議論の場を醸成していくために、サイエンスコミュニケーションを実践する。

研究成果

本研究プロジェクトは、次の3点を中心に2023年度の活動を行った。
(1)宇宙開発とSDGs(JAXAとの連携)
2024年2月2日、公開シンポジウム「SORA-Qから見える未来──新たな人類社会のためのコスモロジーを目指して」を開催した。本プロジェクト研究分担者の渡辺公貴教授(超小型の変形型月面ロボット・愛称SORA-Qの開発者)がSORA-Qの開発からSLIMへの実装に至るエピソードを話し、その後、足立寛和氏(JAXA研究開発部門1段再使用飛行実験(CALLISTO)プロジェクト主任研究開発員)、研究代表者・小原克博、研究分担者・後藤琢也氏と共に、今後の宇宙開発やSDGsとの関係を幅広く議論した。
(2)次世代教育への展開(法人内緒学校との連携)
SDGsの目標達成のために、これからの社会や地球環境に対し責任を負うことになる次世代への教育はきわめて重要である。そのために、本プロジェクトは学校法人同志社の緒学校との連携をはかることを目的として、法人内組織Doshisha Space Project25に研究分担者が参加し、交流を図った。
(3)社会への展開(産官学の連携、サイエンスコミュニケーションの実践)
カーボンニュートラル実現のために重要な役割を担っている産業界等と連携することを目標とした。その目的の一環として、研究分担者・岩渕泰晶氏のガイドのもと、2月3日、JAXA筑波宇宙センターを訪問し、SDGsと宇宙開発テーマとする研究会を現地で行った。

関連するSDGs

4「質の高い教育をみんなに」
7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
13「気候変動に具体的な対策を」

新規 SDGs 用語「ブルーカーボン」のテレビ報道内容分析―SDGs コミュニケーションの視点から

SDG7 アイコン SDG13 アイコン SDG14 アイコン
研究代表者:
桝 太一(ハリス理化学研究所 助教)
研究分担者:
阿部 康人(社会学部 准教授)
研究概要

本研究の目的は、日本の関東地区で放送される地上波テレビ番組を対象として、まだ認知度・理解度の低い科学用語「ブルーカーボン」に着目し、その報じられ方を分析・検証することである。「ブルーカーボン」とは海洋生態系に隔離・貯留される炭素のことを指すSDGs用語であり、社会への認知・理解の促進は、SDGs17の目標の中では「7.エネルギー」「13.気候変動」「14.海洋資源」 と密接に関連している。
本研究では一定期間内において「ブルーカーボン」を報じた番組の内容分析を行うことで、(1)どのジャンルのテレビ番組が、どれだけの量を報道したか (2)具体的にどんな演出手法を用いて認知・理解を促したか (3)総合的に、認知だけでなく理解まで至らせる内容を報道しているか の3点を検証する。これらの分析は桝太一(科学コミュニケーション論)と阿部康人(メディアコミュニケーション論)によって共同で行われ、“SDGsコミュニケーター”としてのテレビの有効性と課題を明らかにすることを最終目的とするものである。

研究成果

昨今注目が高まっている新たなSDGs用語「ブルーカーボン」について、本研究ではその科学的側面を適切に伝達する手段として、地上波テレビの効果に着目して調査・分析を行った。2023年3月1日~2024年2月29日の1年間、関東地区における地上波テレビ局で放送されブルーカーボンという用語が紹介された全ての番組を抽出し、録画による映像データを得た。その結果、期間中に該当条件を満たしたものは22番組確認され、主にニュース報道番組が中心であるものの、放送局および番組ジャンルの内訳は極めて幅広く、紹介手法や演出、科学的情報量に大きな差が存在していることが確認された。同時並行して実施した認知調査では、「ブルーカーボン」という用語が社会における認知の上昇過程にあることが確認された。
さらに特定の番組については放送直後にweb社会調査を実施し、番組視聴の有無と科学的知識量の関係性の解明を試みた。その結果は、SDGsコミュニケーション手段としてのテレビメディアの効果と限界双方を示唆するものと考えられ、現在詳細を分析中である。
ここまでの研究成果の一部は、国際アマモ・ブルーカーボンワークショップAmamo2023での口頭発表、および国際学術誌Journal of Science Communicationに掲載された。
・掲載論文:Bridging research and practice: insights from collaborative science communication research on Japanese television
掲載論文へのリンク
・紹介動画(Youtube; CivicSci TV Video Journal)
紹介動画へのリンク

関連するSDGs

7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
13「気候変動に具体的な対策を」
14「海の豊かさを守ろう」

分断される世界における移民・難民危機

SDG1 アイコン SDG10 アイコン SDG16 アイコン
研究代表者:
内藤 正典(グローバル・スタディーズ研究科 教授)
研究分担者:
マキシミリエン・レーム(グローバル・スタディーズ研究科 大学院生)
米川 尚樹(グローバル・スタディーズ研究科 大学院生)
研究概要

関連するSDGsのうち最も関連の深いものは上記3項だが、本研究課題は全体として国連のSDGsの趣旨に合致しているため、本文中では関連するゴールにも触れている。
2015年のヨーロッパ難民危機は、主としてシリア内戦によって隣国トルコに逃れていた難民のEUへの流出で発生した(ゴール16)。だが、その後も、イラク、アフガニスタン、アフリカ諸国からの難民の流出は一向に止まらない。本研究は、このような現状認識にたって、主として中東・イスラム地域からヨーロッパへの難民・移民の移動を視野に、(1)その変化と最新状況の把握、(2)受け入れ国における処遇の状況と問題を明らかにし、(3)世界の分断状況を改善するために、いかなる学知が必要とされるのかを明らかにする。この研究課題が、国連によるSDGsの多くと直接的に関わる喫緊の課題であることは、2022年に発生したウクライナ戦争による難民の発生で改めて世界に突き付けられたことでも明らかである。国連によるSDGsゴール達成は、パンデミックと戦争によって遠のいている。これだけ、人の移動に関する問題が重層的に発生していることは、冷戦終焉後の世界にとって最大の試練であり、人ひとりを大切にする、誰も取り残さないという新島の信念は、本研究の基底をなしている。

研究成果

本研究は、分断が進む世界のなかで、移民と難民という国境を超える人の移動がもたらす様々な問題をSDGsとの関係から考えようとするものである。このテーマは、SDGsの全てに深く関わるものである。21世紀に入ってからの約四半世紀、世界はあまりに多くの戦争と内戦を経験し、そのなかで最も弱い立場の人びとに移動を強いてきた。国内の経済格差、気候変動による環境変化も加わって人の移動は急速に多様化し、もはや移民と難民を客観的に区別することは困難である。このような状況下にあって、多くの難民を受入れてきたのが、紛争当事国の隣国であり、ヨーロッパと中東の境に位置するトルコだった。トルコは2011年に始まったシリア内戦の難民を最大で400万人受け入れただけでなく、アフガニスタン、イランなどからの難民・非正規移民も多数流入している。この研究では、かつては中東最大の移民送り出し国だったトルコが、多くの移民・難民を受入れる側に変わったことが、トルコの内政・外交にどのような影響を与えたかを検討した。特に、これだけの難民を抱えながらヨーロッパのような難民排斥と排外主義が台頭しなかったことの原因を現地調査によって明らかにした。研究成果の一部は、『トルコ、建国100年の自画像』岩波新書として公刊した。

関連するSDGs

1「貧困をなくそう」
10「人や国の不平等をなくそう」
16「平和と公正をすべての人に」

健康寿命延伸のためのヒトiPS細胞技術を用いた脳老化研究基盤の創出

SDG3 アイコン SDG4 アイコン SDG9 アイコン
研究代表者:
西村 周泰(研究開発推進機構 准教授)
研究分担者:
正水 芳人(脳科学研究科 教授)
研究概要

パーキンソン病は、中脳黒質から線条体へ投射するドパミン神経細胞が選択的に変性脱落する神経変性疾患であり、日本における患者数は約16万人と報告されている。患者の多くは65歳以上の高齢者であることから超高齢化社会を迎えた日本にとって、パーキンソン病の予防法および根治治療法の確立は、患者本人の生活の質(QOL)の向上や介助に携わる患者家族および医療従事者の負担軽減の観点からも喫緊の課題となっている。パーキンソン病の発症要因の一つとして、凝集型α-シヌクレインタンパク質の脳内伝播(シヌクレイノパチー)によって引き起こされる神経細胞死が知られており、シヌクレイノパチー病態の予防戦略の開発は、パーキンソン病患者数の減少や健康寿命の延伸に貢献できると考えられる。本研究課題では、ヒトiPS細胞技術を活用して以下の研究に取り組むことで、SDGs(目標3、4、9)の達成に貢献することを目指します。
①ヒトiPS細胞から作製したヒト脳オルガノイドを用いてシヌクレイノパチー病態をシャーレの中で再現し、薬学的介入を基軸としたシヌクレイノパチー病態の予防法の開発研究を進めるための基盤技術を確立する。
②これらの技術を基盤として、学内外の研究者との共同研究を創出するための研究プラットフォームを確立する。

研究成果

本研究ではヒトiPS細胞からの脳オルガノイド作製技術を発展させ、複数の脳領域を有する脳オルガノイドの作製条件の確立を行った(目標9)。作製した各脳領域については、免疫染色によるマーカータンパク質の発現解析、RNAシークエンスによるトランスクリプトーム解析およびカルシウムイメージングによる神経活動の解析などを実施し、目的とする脳領域に含有される機能的な神経細胞を誘導することに成功した。さらにこの脳モデルが持つ多領域性を活かして、シヌクレイノパチーの病態再現モデルの作製に着手した。パーキンソン病やレビー小体型認知症では凝集したα-シヌクレインが脳の領域を越えて伝播することで神経変せいや神経細胞死を引き起こすことが知られている。我々は高齢者が罹患するこれらの神経変性疾患の病態解明について、ヒト細胞を用いたアプローチを進めており、学内外の研究者との共同研究により、これまで生検が難しく分子病態が明らかにできなかった疾患の理解につながることが期待できる(目標3,4)。今後、疾患の分子病態の正確な理解に基づいて、予防および治療的な介入法を確立することで健康寿命の延伸に資する研究基盤の開発をさらに進めていく予定である。

関連するSDGs

3「すべての人に健康と福祉を」
4「質の高い教育をみんなに」
9「産業と技術革新の基盤をつくろう」

グリセロールを原料とする生体親和性サステイナブルポリエステルの開発

SDG7 アイコン SDG14 アイコン SDG15 アイコン
研究代表者:
西村 慎之介(理工学部 助教)
研究分担者:
金井 亮介(理工学研究科 大学院生)
瓜生 真里菜(理工学研究科 大学院生)
研究概要

近年、高分子材料が地球環境へ流出して生じるマイクロプラスチックによる、土壌や海洋の汚染が問題になっている。また、エネルギー資源の浪費も課題の1つである。これらの課題を解決するためには、バイオマスを有効活用し、資源循環を達成できる生分解性高分子材料の開発が必要である。以上の背景を踏まえ、本研究では生物にとって安全なバイオマス由来の生分解性高分子材料の創製を目的とする。
本研究で着目したグリセロールは、廃食用油から作られるバイオディーゼル燃料 (BDF) の製造時に生成する副生物である。BDFは化石資源を使わないクリーンな燃料であり、二酸化炭素排出量を実質ゼロと見なせるカーボンニュートラルを達成できる魅力的なエネルギー源である。しかしながら、副生したグリセロールは産業廃棄物として処理されているのが現状である。バイオマスである副生グリセロールから生体親和性と生分解性を併せ持つポリエステルを合成することができれば、カーボンニュートラルに貢献し、サステイナブルな合成技術としても意義深い。バイオマス由来かつ生物に優しいポリエステルの開発を行う本研究は、SDGsが掲げる資源循環や環境保全の達成に繋がるものである。

研究成果

近年、高分子材料が地球環境へ流出して生じるマイクロプラスチックによる、土壌や海洋の汚染が問題になっている。また、エネルギー資源の浪費も課題の1つである。これらの課題を解決するためには、バイオマスを有効活用し、資源循環を達成できる生分解性高分子材料の開発が必要である。以上の背景を踏まえ、本研究では生物にとって安全なバイオマス由来の生分解性高分子材料の創製を目的とした。
本研究で着目したグリセロールは、廃食用油から作られるバイオディーゼル燃料 (BDF) の製造時に生成する副生物である。BDFは化石資源を使わないクリーンな燃料であり、二酸化炭素排出量を実質ゼロと見なせるカーボンニュートラルを達成できる魅力的なエネルギー源である。しかしながら、副生したグリセロールは産業廃棄物として処理されているのが現状である。本研究では、グリセロールから生分解性ポリエステルを合成する手法を確立した。本技術は、カーボンニュートラルに貢献し、サステイナブルな合成技術としても意義深い。本研究で開発した技術はSDGsが掲げる資源循環や環境保全の達成に資するものである。

関連するSDGs

7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
14「海の豊かさを守ろう」
15「陸の豊かさも守ろう」

SDGsに「色」はあるか? ~SDGsの違いがクラウドファンディングの成否に与える影響の実証研究~

SDG17 アイコン
研究代表者:
野瀬 義明(ビジネス研究科 教授)
研究分担者:
神山 拓央(大和証券株式会社)
研究概要

・本研究は株式会社トラストバンク様のご協力のもと、SDGs各ゴールの違いが同社のガバメントクラウドファンディング(GCF)を通じた資金調達の成立・不成立に与える影響を分析する実証研究である。
・SDGsへの取り組みは、地方自治体にとって不可欠となっている。しかし、財源が限られるなかでの新たな取り組みであり、従来の税収や国からの補助金だけに頼らない資金調達が喫緊の課題となっている。
・ふるさと納税制度は地方自治体にとって、新たな資金調達の枠組みである。しかし、高額な返礼品を要するため調達コストが過大である。一方、GCFではふるさと納税のプラットフォームは活用するものの、返礼品を前提としない。納税者(寄付者)が注目するのはその資金使途であり、各SDGsの17のゴールに応じて応募先が選択される。
・本来SDGsの17ゴールはそれぞれが等しく意義をもっており、各々に対して優先順位や軽重が付されているわけではない。しかしながら、実際のCFの場面では、資金をより集められるゴールと相対的に不人気のゴールがあると、経験的に語られる。
・本研究では寄付者を誘引するSDGs属性を明らかにする。返礼品がなくても寄付が集まりやすいSDGs属性を同定できれば、各自治体はその属性に集中することで、効率的に資金調達することが可能となる。

研究成果

本研究では、日本の地方自治体が実施するクラウドファンディング(GovCF)の成功要因を、ふるさと納税制度を活用した事例に焦点を当てて分析した。分析の結果、進捗報告の頻度など、一定のシグナルがキャンペーンの成功確率を高めることが明らかになった。一方で、返礼品の有無や数が直接的な影響を及ぼすことはないことが確認された。特に注目すべきは、社会的課題解決に向けた資金使途のキャンペーンが成功率を高めることであり、これはSDGs達成への貢献につながるプロジェクトへの投資が資金調達コスト削減に有効である可能性を示唆している。
SDGsのテーマに沿ったキャンペーンの成功率が高いことも確認された。特に貧困撲滅や不平等削減を目指すキャンペーンは、高い成功率を示しており、GovCFが地方自治体による持続可能な開発への貢献を強化するための有力な手段である可能性が示されている。この研究により、GovCFがSDGsの目標達成にどのように貢献できるかの理解が深まり、将来的にはより多くの地方自治体がSDGs関連のプロジェクトに焦点を当て、社会的影響を高めることが期待される。

関連するSDGs

17「パートナーシップで目標を達成しよう」

ダイバーシティとグローバル教育を実現する⼀環としてのジェンダーを超えた教育研究環境の⾰新的創造

SDG4 アイコン SDG5 アイコン SDG10 アイコン
研究代表者:
﨑⽥ 智⼦(グローバル地域⽂化学部 教授)
研究分担者:
Aysun Uyar(グローバル地域⽂化学部 准教授)
王 柳蘭(グローバル地域⽂化学部 准教授)
渡辺 ⽂(グローバル地域⽂化学部 助教)
⽯野 未架(グローバル地域⽂化学部 准教授)
研究概要

人一人を大切にして、個々の違いをスタートラインとみなし、ダイバーシティを受け入れるだけでなく尊重し奨励する教育研究環境が実現できて初めて、自由な発想に基づく新たな発見や創造が可能になる。
本研究は、全ての学生と研究者が⾃由に学び議論し能力を発揮する、マイノリティに配慮したグローバルキャンパスを実現するための分野融合型プロジェクトである。様々な不平等に関して各学術分野においては議論が成熟してきたが、それらを融合させて捉え直し、真のグローバル教育と交流を可能にするため、SDGs目標である教育、不平等、ジェンダーをとりまく5つの研究フレーム(教育学、国際関係論、言語学、ジェンダー論、人類学)で調査を実施する中で見えてくる課題について議論する。具体的には、ジェンダーやエスニシティの捉え方、多様性の教育的意味、多⾔語主義グローバルキャンパス、文理融合型アプローチ、女性研究者の教育研究環境、UN Womenガイドラインによる不平等問題の検証などの課題に取り組み、ジェンダー問題を超えてダイバーシティを尊重できるようなグローバル社会の形成モデルを提案する。

研究成果

本研究は、SDGs目標である教育と不平等とジェンダー問題の解決を目指して、全ての学生と教員が⾃由に学び能力を発揮できるマイノリティに配慮したグローバルキャンパスを実現する分野融合型プロジェクトである。ジェンダー論を出発点に、様々な側面で二項対立的発想からの脱却と多様性を前提とするグローバル社会の形成モデル構築のために、ダイバーシティ取り組みの過不足、障壁となる思考のバイアス、政策の変遷、ダイバーシティが与える影響、等に関して、内外の男女共同参画室やダイバーシティ推進室と連携して現状把握やネットワーキングに努めた。特に育児介護中の女性研究者の環境向上のため、ワークライフバランスサポート体制を模索した。
公開シンポジウム「ダイバーシティとグローバル教育―ジェンダーを超える視点から」では、教育研究に携わる女性を取り巻く現状、教育現場での言語使用の影響、性差医療から考えるダイバーシティ、生物多様性から捉え直すヒト社会の繁殖成長戦略、と多岐に渡って問題提起を行なった。パネリストらが子供同伴で研究発表や運営を行い次世代へのロールモデルを提示し、学生との座談会も闊達に行われる等、独創的プロジェクトとして好評を得た。

関連するSDGs

4「質の高い教育をみんなに」
5「ジェンダー平等を実現しよう」
10「人や国の不平等をなくそう」

小規模企業における女性企業家の起業プロセスにかんする研究

SDG4 アイコン SDG5 アイコン
研究代表者:
関 智宏(商学部 教授)
研究概要

世界経済フォーラムによると、2022年の日本の「ジェンダーギャップ指数」は146カ国中116位であり、ジェンダー後進国となっている。一方で、企業社会においては、政府が目標として掲げている「女性管理職(課長相当職以上)30%」を超えている企業は依然として1ケタ台にとどまっているが(帝国データバンクによる調査)、小規模企業における女性管理職登用の割合は相対的に高いという事実がある。
この割合が高い理由の1つが、小規模企業の女性の代表、すなわち女性企業家の存在であろう。しかしながら、そもそも企業社会において女性が自身の裁量でその能力を発揮することができる小規模事業のマネジメントを実現するためにはいくつかハードルが知られている。日本の企業社会において、女性がどうすれば女性企業家になりうるか、活躍できうるかは必ずしも明らかではない。そこで本研究では、日本の企業社会におけるジェンダーギャップをなくすことに貢献するために、小規模企業における女性企業家を対象に、創業ならびにマネジメントにかかる一連の起業プロセスおよびそのために必要な教育を解明する。

研究成果

本研究では、小規模企業における女性企業家を対象に、創業ならびにマネジメントにかかる一連の起業プロセスおよびそのために必要な教育を解明することを目的と設定した。ここでは女性企業家2名を紹介する。その1名は、大卒後、総合職として就職した会社を退職した後、結婚、出産を経て、仕事を探すも、働く場所がなかったことから、ネットショップを起業することにした。その後、ヘアアクセサリーの輸入販売業を起業し、さらに二度目の起業となる食品ロスを削減する事業を起業した。もう1名は、大学在学中から起業することを決め、卒業と同時に、飲食店でのアルバイトの経験を活かし、カフェを起業した。売上の波があったものの、その後順調に事業を拡張し、着物レンタル、焼肉など複数の事業を展開している。
これら2名の女性企業家に共通していることは、時間の経過のなかで、さまざまな苦難に直面しながらも、しなやかにかつしたたかに事業を展開させてきているという点である。これまで起業と言えば、スタートアップに見られるように、事業をいかに短期間でスケールさせるかに焦点が当てられていた。女性企業家を多く社会に輩出するためには、女性らしい起業のあり方や浮き沈みがあるような事業展開の多様性を認めることが必要である。起業教育にこのような女性らしい起業プロセスの視点をと入れることも重ねて重要である。これらにより日本の企業社会におけるジェンダーギャップをなくすことにつながることが期待される。

関連するSDGs

4「質の高い教育をみんなに」
5「ジェンダー平等を実現しよう」

企業におけるSDGs持続可能性の価値-持続可能性に対する上級管理職/従業員の意識と企業業績第2相

SDG5 アイコン SDG8 アイコン SDG10 アイコン
研究代表者:
須貝 フィリップ(ビジネス研究科 教授)
研究分担者:
井上 福子(ビジネス研究科 教授)
研究概要

この研究課題の目的は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の目標5、8、10に関連する特定の成果を達成するために、企業の(1)上級管理職、および(2)従業員が創出する価値の測定方法をより深く理解すること、また、個々の企業内と20の異なる日本企業グループの両方で比較することである。
従業員価値に関して、企業において従業員と上級管理職の見解がどのように一致し、それが企業全体の業績にどのような影響を与えるかという点に焦点を当てる。
本研究では、すでにこれまでの研究を通して特定した6つの従業員価値のテーマ、さらにこれらのテーマに関連する長期的な従業員価値創造へのコミットメントを示すための企業のとるべき23の行動に基づき、アンケートを作成しており、これを本研究においてさらに展開していく。

研究成果

論文の執筆やプレゼンテーションに加え、私は可能な限り公開講演や発表を通じて、これらの成果を一般に公開するよう取り組んでいる。 まず、沖縄科学技術大学院大学(OIST)のコミュニケーションディレクターであるヘザー・ヤング氏とともに、国連総会の科学サミットやGIVS2023で議論された重要なポイントや洞察をまとめた短い記事を執筆し、ジャパンタイムズの編集部に送ったところだ。
さらに今年、私の研究は日本経済新聞の半ページの記事で取り上げられたが、この記事では私たちの研究の重要性と日本及び世界のビジネス慣行への影響を強調している(参考までに記事は2023年8月22日の日本経済新聞より確認可能)。
そして2024年5月23日には、RIジャパン(レスポンシブル・インベスター・ジャパン)の招待で、サステナビリティに関する報告、AI及びESGの未来についてのディスカッションにパネリストとして参加する予定だ。これはすべてSDGsとその将来像に直接関連しており、私はSDGsとその将来像の軌跡をめぐる考え方の進化をサポートし続けることができればと考える。

関連するSDGs

5「ジェンダー平等を実現しよう」
8「働きがいも経済成長も」
10「人や国の不平等をなくそう」

京都世界遺産「二条城」から学ぶ文化遺産マーケティングに関する研究

SDG4 アイコン SDG11 アイコン
研究代表者:
多田 実(政策学部 教授)
研究分担者:
佐藤 守弘(文学部 教授)
佐野 明子(文化情報学部 准教授)
小黒 純(社会学部 教授)
竹内 幸絵(社会学部 教授)
研究概要

本研究は、元離宮二条城(以下「二条城」と略記)において、「価値主導型マーケティング」をまちづくりに適用して地域の潜在的な「価値」が見出せれば、自律的かつ持続的なまちづくりが可能であることを明らかにする。そのため、アンケート調査などによる定量的な分析に加えて、次世代を担う若者の反応を制作したPR動画で検証するなど、感情科学を考慮した定性的な分析アプローチも試みることにより、その方法論を次世代型の地域活性化マーケティングとして汎用化・体系化を試み、文化遺産の持続に不可欠な修復募金が思うように集まっていない二条城の現状を打破するようなマーケティング戦略の策定を目指す。
近年、文化遺産の維持は、莫大な費用がかかることが課題となっている。特に寺社仏閣でない文化遺産は、収入源が少ないため維持については緊急の問題となっている。そこで、本研究では、京都の二条城をモデルに、文化遺産とその周辺地域をも含めた価値を創り出すマーケティング戦略のモデルを、実証的研究知見に基づいて構築する。これにより、文化遺産の多元的な価値を国内外の文化遺産に広く適用できる汎用的なマーケティング戦略として構築・提案できる可能性が大きい。

研究成果

本研究では、SDGsゴール「4.教育」ならびに「11.持続可能な都市」を踏まえて持続可能な文化遺産マーケティング考えるため、二条城とその周辺に関する調査・分析を行い、その成果を専用ホームページ「同志社大学SDGs研究プロジェクト~二条城から学ぶ文化遺産マーケティング」(https://joma-doshisha.jp/)を構築して公開した。このとき、軸にしたコンセプトは、マーケティング3.0と称される価値主導型マーケティングの概念で、二条城の公式サイトや観光ガイドのホームページで紹介されている見どころだけではなく、あえてそれ以外の部分に潜んでいるエモーショナルな(感情を揺さぶるような)モノやコトに着目し、それらを写真や文章で紹介・表現した。ここでは、地域マーケティングに加えて地勢学の観点からも40年前からの移りゆく二条城関連の出来事を豊富な資料とともにコラム(エッセー)を公開した。また、教育への適用として、京都世界遺産PBL科目との連携により、受講生が考える二条城の「価値」について本研究で得られたおすすめポイントを提示することで、受講生がフィールドワークを行い、その成果を二条城(京都市)に提案した。

関連するSDGs

4「質の高い教育をみんなに」
11「住み続けられるまちづくりを」

SARS-CoV-2 の Sタンパク受容体結合部位を標的とした新規ペプチド性COVID-19治療薬の開発

SDG3 アイコン
研究代表者:
髙橋 美帆(生命医科学部 助教)
研究概要

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、世界規模の感染流行をひき起こしながら今後も長く人類と共存することが懸念されている。SDGsゴールのひとつ、目標3(保健)「すべての人に健康と福祉を」を達成するためには、有効なSARS-CoV-2感染症(COVID-19)治療薬の創製は重要な課題である。SARS-CoV-2の粒子表面には3量体スパイクタンパク質(Sタンパク)が存在している。Sタンパクは、標的細胞膜上のACE2受容体に結合することができ、両者の相互作用は、ウイルスが細胞内に侵入するために必須の過程である。我々は、多量体構造を形成して機能する標的分子に強く結合するペプチドモチーフを同定する技術、多価型ペプチドライブラリー法を開発している。本研究では本法を用いて、3量体Sタンパクの受容体結合部位(RBD)に強く結合するペプチドを同定すること、このペプチドをもとにウイルスの標的細胞への侵入を阻害するペプチド性COVID-19治療薬の開発をおこなう。これまでに、10種類以上のRBD高親和性結合ペプチドモチーフの同定に成功している。本研究では、これらモチーフをもつ多価型ペプチドを各々合成し、Sタンパクへの結合親和性、結合特異性、SタンパクとACE2の相互作用によりひき起こされる膜融合に対する阻害効果等を評価する。

研究成果

SDGsゴールのひとつ、目標3(保健)「すべての人に健康と福祉を」を達成するためには、有効な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬の創製は重要な課題である。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が標的細胞に侵入する際には、ウイルス粒子表面のSタンパクが、その受容体結合部位(RBD)を介して、細胞表面に発現する受容体ACE2と相互作用することが重要である。本研究では、SタンパクのRBDを標的とし、ウイルス感染を抑制するペプチド性SARS-CoV-2阻害剤の開発を行っている。
これまでに、多価型ペプチドライブラリー法を用いてRBDに強く結合する多価型ペプチド10種を同定している。そこで本研究では、取得したペプチドについて各種生化学的解析を行なった。その結果、3種の多価型ペプチドが1M以下の濃度でRBDとACE2の相互作用を効率よく阻害することが明らかとなった。また、それぞれ独立した細胞膜上に発現したSタンパクとACE2が相互作用することにより生じる細胞膜融合測定系を用いて、上記3種の多価型ペプチドが細胞膜融合をペプチド濃度依存的に抑制することが明らかとなった。現在その他の候補化合物についても同様の解析を実施している。

関連するSDGs

3「すべての人に健康と福祉を」

環境保全行動に資する次世代育成プログラム開発に関する研究

SDG4 アイコン SDG12 アイコン SDG13 アイコン SDG14 アイコン SDG15 アイコン
研究代表者:
瓜生原 葉子(商学部 教授)
研究協力者:
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)ブランドコミュニケーション室
瓜生原葉子研究室学生ソーシャルマーケティング研究センター研究員
研究概要

本一連の研究のゴールは、次世代(小学生~大学生と設定)が環境保全行動を自発的にとれるような教育プログラムとその評価指標を開発し、それを実装することで、SDGs達成に直接貢献することである。
本研究では、環境保全行動を具体的に設定し、次世代が、その行動を自分ゴト化し実行するための行動障壁、行動動機、価値を明らかにし、そのインサイトを盛り込んだプログラムを開発し、実装し、測定する。様々な行動が想定されるが、例えば、「認証マーク(エコラベル)付き商品を選択し、それがソーシャルグッドであると発信する行動」をひとり一人が起こせば、その輪が拡がることで、企業の生産行動へも影響を及ぼす。どのような行動がよりSDGs達成に寄与するのかを鑑み、行動を設定し、モデル地域で実装を行う予定である。さらに、今後知見を積み重ねて全国展開可能な普遍性のあるプログラムへと精緻化する。
社会実装研究であるため、課題解決に直接貢献すること、ソーシャルマーケティング※の手法を用いることを特徴とする。
※https://o-socialmarketing.jp/

研究成果

本研究は、SDGsの目標4(教育)、目標12(持続可能な生産と消費)、目標15(陸上資源)に関連している。一連の研究のゴールは、次世代が環境保全行動を自発的にとれるような教育プログラムとその評価指標を開発し、それを実装することで、SDGs達成に直接貢献することである。2023年度の研究では、親子(小学生の子を持つ親世代、30-40代)が生物多様性保全行動に関心を持ち、自ら調べるようになる「ストーリー性のある展示物と体験ブースを含めた教育プログラム」を開発し、実装・検証を試みた。さらに、その結果をまとめた動画を作成し、小学教諭400名と小学生の子をもつ親1,000名を対象とした定量調査を行い、教育プログラムの受容度と今後の展開について分析した。
その結果、以下を特徴とする教育プログラムを開発・実証した。
①学術的なプロセスに則って設計
②場所を問わず実施できる
③こどもの調べ学習につながり、参加後のフォローアップが可能
本プログラムについて、小学教諭の75.4%が「教育にとりいれてみたい」、親の73.4%が「地域コミュニティの場で受けてほしい」と回答した。そのため、ファシリテーター向けマニュアルや作成した。今後、本プログラムが活用されるよう実施の支援とその検証を続けたい。


関連するSDGs

4「質の高い教育をみんなに」
12「つくる責任 つかう責任」
13「気候変動に具体的な対策を」
14「海の豊かさを守ろう」
15「陸の豊かさも守ろう」

インダストリー4.0におけるイノベーションと持続可能な製造業への影響

SDG9 アイコン SDG12 アイコン
研究代表者:
殷 勇(ビジネス研究科 教授)
研究協力者:
Juan Liu (ビジネス研究科 Visiting Scholar)
Yuhong Ren (ビジネス研究科 Visiting Scholar)
Jiafu Tang (東北財経大学 教授)
Chenguang Liu (西北工業大学 教授)
研究概要

産業4.0の急速な浮上は、製造業に大きな影響を与えました。産業の変革に不可欠な技術やオートメーションが登場しています。これらの革新は製造業の風景を変え続けていますので、持続可能な製造の実践に対する影響を調査し、責任ある生産を促進するためにどのように利用することができるかを分析することが重要です。この研究計画は、産業4.0の革新と持続可能な製造の関係を深く分析することを目的としており、産業4.0技術を持続可能な製造のプロセスに組み込むことに伴う可能性と課題を綿密に分析することになります。
この研究の最大の目的は、産業4.0の技術がサステイナブルな製造に与える影響を精査することです。これらの最先端の技術をサステイナブルな製造手順に実装する上での恩恵と課題を明らかにすることを目指します。深く調査を行うことで、産業4.0がどのように環境にやさしい、リソース効率的で、社会的に責任ある製造を可能にするかを示すことができます。
さらに、この研究は、産業4.0技術を経営に導入しようとする製造業者に有益なアドバイスと指導を提供することができます。ベストプラクティスと潜在的な問題点を特定することで、製造業者には、産業4.0戦略を採用する際にサステイナビリティに対する強いコミットメントを維持するための情報を提供することができます。
この研究は、産業界において、Industry 4.0 の革新が持続可能な製造に対する影響を検証することを目的としています。これら最先端のテクノロジーを持続可能な製造手順に導入する上での利点や課題を明らかにすることを通じて、製造業者が環境に配慮した、リソース効率的で社会的に責任を持った生産を行うことを支援します。
また、この研究は、政策制定者にとっても有益なリソースとなることが期待されます。Industry 4.0 が持続可能な製造に寄与する様々な方法を明らかにすることで、政策制定者は、環境に配慮した製造実践にIndustry 4.0 技術を導入するための規制やインセンティブをより的確に開発することができます。
この包括的な研究計画は、Industry 4.0 の革新と持続可能な製造との関係を探求し、これらの最先端技術を採用する上での利点と課題を探究することにより、製造業者や政策制定者にとっての有益な洞察や指導を提供することができます。この研究は、製造業界の日新たる風景において、責任ある持続可能な生産の促進に寄与することが期待されます。

研究成果

2023年の研究活動報告では、産業4.0の進展、セルシステムの活用、およびサプライチェーンの中断管理に焦点を当て、これらのテーマを持続可能な開発目標(SDGs)との関連性を明確に探求しました。特に、現代製造業における重要な課題に対応するための持続可能な解決策を提供することを目的としています。
産業4.0に関する研究では、この技術革新が製造業にどのように影響を及ぼしているかを詳細に分析しました。SDGsの目標12(持続可能な生産消費パターンを確保)に貢献することを重視し、特に持続可能な製造プロセスへの影響を調査しました。オートメーションやデータ分析などの技術が、エネルギー効率の改善や廃棄物の削減を通じて環境に優しい製造方法をいかに促進しているかについて具体例を示し、これらの技術が持続可能な製造に直面する課題をどのように克服しているかを考察しました。
セルシステムの研究では、このシステムが伝統的な大規模生産システムと異なり、製造業の効率と柔軟性をどのように向上させるかを分析しました。SDGsの目標9(産業と技術革新の基盤を構築する)に関連し、セルシステムが市場の変動に迅速に対応できる生産体制をどのように実現しているかを示しました。異なる製品を迅速に切り替える能力に優れているため、小ロットで多品種の製品を効率的に生産することができ、製造プロセスの持続可能性を高める手法として位置づけられます。
最後に、サプライチェーンの中断管理における研究では、SDGsの目標9および17(レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る、パートナーシップで目標を達成する)と関連して、JITとJIC戦略がサプライチェーンの脆弱性をどのように管理し、時には課題を克服するのかを深掘りしました。サプライチェーンの中断を柔軟に管理することの重要性を強調し、単一の戦略に依存せず、状況に応じて戦略を適応させる必要があることを示しました。これにより、サプライチェーンの中断に対する戦略的な対応を最適化する方法について具体的な提案を行いました。
このように、2023年の研究活動を通じて、産業4.0の技術、セルシステムの活用、およびサプライチェーンの中断管理が持続可能な製造業の実現にどのように貢献するかについての理解を深めることができました。これらの研究成果は、SDGsの実現に向けた具体的なステップを提供し、製造業者や政策制定者に対して有益な洞察を与えています。

関連するSDGs

9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
12「つくる責任 つかう責任」

ICTを活用した「大学授業料保険プラットフォーム」の制度設計:貧困陥落等による教育継続困難者の回避に向けて

SDG1 アイコン SDG4 アイコン SDG10 アイコン
研究代表者:
吉田 悦章(ビジネス研究科 教授)
研究概要

本研究は、学生が貧困状態に陥り金銭的な理由で学業の継続が困難となるような状況を回避するため、情報通信技術を高度に活用しつつ保険の仕組みを効果的に活用し、金銭的に困難な状況に陥ったとしても教育の継続を可能とするような枠組みを設計するものである。経済的な格差を是正し教育の継続に繋げるという観点で、SDGsのゴール1、4、10の範疇に入る。
近年のコロナ禍に限らず、学生本人やその保護者の予期せぬ就業不能事態の発生等により授業料の支払いが困難となり、大学の通学継続や卒業を断念してしまうケースは意外に多い。文部科学省による調査によれば、大学中退の理由の2割が経済的な理由によるものだという。我が国においても貧困は大きな社会的課題であり、本研究はその解決に向けた具体的な仕組みを開発することを目的としている。
予算・期間等の制約により、本研究のみでアプリや保険商品を開発して社会実装することは想定していないが、その理論的枠組みを構築し、関係機関との調整を交えた現実的な制度設計を目指している。このため実践志向の研究成果とする計画であり、また、SDGsの一部理念とも共通するイスラームの価値体系から示唆を得ている部分もあることから、その他の要素も含め極めて学際的な成果とする予定である。

研究成果

本研究は、大学生が何らかの経済的事情で学業の継続が困難となるような状況に接した際に資金拠出により退学を回避できるような「大学授業料保険プラットフォーム」を実装する上で必要な基本設計を構築するものである。具体的には、多くの学生が入学金支払時等にこの保険に参画し、ある学生が一定の条件を満たす困窮状況に陥った場合には、授業料相当の保険金が支払われるスキームを想定している。
そもそも「保険料を支払ってこの枠組みに参画する人はいるのか」という疑問が最初に浮かぶ。単なる損得勘定に基づく保険ではなく、同じ大学に学ぶ学生同士の相互扶助、あるいはコミュニティに対する寄付と捉え直すことで、この保険への参画が理論的に支持されることが本研究作業を通じて明らかになった。実践に移す際には保険業の免許が必要になるが、保険会社もこうした社会的意義のある事業には昨今のSDGs重視の流れから前向きであり、既存の保険会社が協力し得ることも分かった。
総じて、保険を活用することで全体として少額で済み、目的が明確で寄付もしやすく、大学というコミュニティを信頼に溢れた場とするという観点で、意義の大きい枠組みと考えられる。

関連するSDGs

1「貧困をなくそう」
4「質の高い教育をみんなに」
10「人や国の不平等をなくそう」

AY2023

*Listed in alphabetical order of the principal researchers' names.

Sustainability in business laws

SDG1 icon SDG8 icon SDG12 icon

Principal Researcher: FUNATSU Koji (Professor, Faculty of Law)

Research Outline

Currently, corporate law is undergoing a major transformation. In the corporate law system, which largely defines the state of the corporation, the conventional view was that corporate activities should be aimed at the profit maximization of shareholders. However, it has been pointed out that such a goal-setting is having a negative impact on society as a whole, especially in this day and age when corporations have come to have a large presence in society. In other words, as a result of companies only thinking about the expansion of their own profits, especially when they operate outside their home countries, they easily commit human rights abuses such as economic exploitation (related to Goal 1 and 10) and child labor (related to Goal 8) and environmental destruction (related to Goals 12, 14, and 15) such as emission of harmful substances, which they do not commit in their home countries, and thus impose negative externalities on society. In light of this situation, there are calls for sustainability-conscious management by companies.
The purpose of this study is to clarify the position of sustainability in Japanese corporate law, based on discussions in other countries on the legal relationship between corporate law (especially corporate law) and sustainability.

Research Results

Traditionally, the general view has been that corporate activities should be aimed at increasing shareholder value. However, such a goal-setting approach to corporate activities is considered to have a negative impact on society as a whole, especially in this day and age when corporations have come to have a large presence in society. Therefore, there is now a growing demand for companies to manage their operations in a manner that takes sustainability into consideration. In this study, I explored the legal relationship between corporate legislation (especially corporate legislation, which places the acquisition of corporate profits as the primary concern) and sustainability (Goal 8), including environmental protection (Goal 13), human rights protection (Goal 1 and Goal 5), etc. In doing that, I investigated the trends of (i) the Corporate Sustainability Reporting Directive and (ii) the Corporate Sustainability Due Diligence Directive in the EU and, using Germany, one of the EU member states, as an example, I examined the relationship between these EU directives and German domestic laws. Then, I examined theoretical trends in academic discourse on the status of sustainability in German corporate legislation. In addition, as a recent legislative example in financial area, I analyzed the German "the Financing for the Future Act", passed in 2023.

Related SDGs

1 "No Poverty"
8 "Decent Work and Economic Growth"
12 "Responsible Consumption and Production"

In Search of Legally Remedial Safety Net Leaving No One Behind from the Perspective of Justice, Equality and Education

SDG4 icon SDG10 icon SDG16 icon

Principal Researcher: KAWASHIMA Shiro (Professor, Faculty of Law)

Research Outline

One of the most important issues in the current civil justice system in Japan is the "Implementation of ICT to Civil Proceedings". This is a project to digitize the entire range of court proceedings (civil litigation, civil execution, civil preservation, family court and insolvency proceedings etc.) and to make it possible to conduct proceedings via the Internet. While this is certainly an epoch-making legal reform in a symbiotic society with COVID-19 and an important step toward the establishment of a legally remedial safety net, it is undeniable that the current situation lags behind that of other advanced countries such as the U.S., Singapore and South Korea etc. and that there is a lack of consideration for the ordinary people. For example, consideration for the digitally vulnerable, support for persons with disabilities, and preparation of ICT for supporting pro se lawsuits, which were among the initial plans to be considered, have been postponed, and instead even unequal procedures that allow for speedy priority trials have been stipulated. Not only is there a lack of orientation toward "to create civil proceedings in which no one is left behind," but there is also a lack of coordination with other dispute resolution procedures, and even fears that this might lead to a disparity in procedures within the judiciary are becoming reality.
Therefore, in order to establish a fair and strong system that meets the justice principle of "a legally remedial safety net that leaves no one behind", this study aims to substantiate equality before the law (→SDG.10: Equality), to make concrete proposals that contribute to the enhancement of legal education related to civil justice (→SDG.4: Education) and to create a fair and strong justice institutions (→SDG.16: Justice).

Research Results

1. “Remedial Forms of Democratic Justice: ‘Procedural Realization of Constitutional Values’, pp. 1-393 (Kobundo, December 2023)
(Related to SDGs.10 & 16・・・ Various issues under the Code of Civil Procedure were discussed in detail from the viewpoints of SDGs and constitutional values. In particular, ICT in civil litigation was also discussed in detail from the perspective of SDGs and constitutional values.)
I also critically examined ICT for civil litigation and made specific recommendations.)
2. “Fostering of Law Professors after the Establishment of the Law School System,” Doshisha Hogaku, No. 437, pp. 1-55 (August 2023).
(Related to SDG.4・・・ To concretely realize the SDG.4 and the democratic judiciary, legal education and legal training education are indispensable. Therefore, I discussed how to foster and train law professors who are responsible for the better legal world and coming Japanese Society.)
3. “On the Soundness of Liberal Legal System and the Role of Courts: A Reexamination,” Doshisha Hogaku, No. 438, pp. 49-118 (September 2023).
(Related to SDGs.10 & 16・・・In the context of individual judgments in civil litigation cases, judges are allowed to make findings of fact freely based on rules of thumb, but such proper findings are necessary for the establishment of a fair and strong judicial system. However, in order to build a fair and strong judicial system, proper recognition is necessary.)
4. “The Quarter Century of Legal Education” (forthcoming in 2024)
(Related to SDG.4・・・Further extending the discussion in 2. above, I have proposed a critical examination of the past 25 years in Japan and a prospective guideline.)

Related SDGs

4 "Quality Education"
10 "Reduced Inequalities"
16 "Peace, Justice and Strong Institutions"

Smart Polymer Materials from Renewable Resources

SDG9 icon SDG12 icon SDG15 icon

Principal Researcher: KOGA Tomoyuki (Professor, Faculty of Science and Engineering)

Research Outline

Polymer materials such as fibers, plastics, and electronic materials, are closely related to our daily life. Recent remarkable progress in polymerization techniques has enabled the precise design and synthesis of diverse functional polymers with well-controlled molecular weight, polydispersity, molecular shape, and monomer sequence etc. On the other hand, most synthetic polymers are developed based on limited petroleum resources, and the problem of marine pollution (microplastics) has also arisen due to mass production/consumption of synthetic polymers. Therefore, it is desirable to develop new environmentally friendly polymeric materials with sustainable production.
Stimuli-responsive polymers, known as smart polymers, change their nanostructures and physicochemical properties in response to external stimuli such as temperature and solution pH. They are expected to have a wide range of industrial applications such as drug delivery, cell scaffolds, actuators, biosensors, and bioseparation materials. The aim of this research is to fabricate an amino acid-based smart polymer system with tailor-made thermo-responsiveness. The features of amino acids are (1) structural and functional diversity (20 types), (2) they are a renewable resource, and (3) high environmental compatibility and biodegradability. We will establish a new smart polymer system to achieve the SDGs.

Research Results

Polymer materials, such as fibers and plastics, are closely related to our daily life. Recent remarkable progress in polymerization techniques has enabled the precise design and synthesis of diverse functional polymers with well-controlled molecular weight, polydispersity, molecular shape, and monomer sequence etc. On the other hand, most synthetic polymers are developed based on limited petroleum resources, and the problem of marine pollution (microplastics) has also arisen due to mass production/consumption of the synthetic polymers. Therefore, it is desirable to develop new environmentally friendly polymeric materials with sustainable production. Considering these facts, we have developed a novel amino acid-based smart polymer system with tailor-made thermo-responsiveness. The features of amino acids are (1) structural and functional diversity (20 types), (2) they are a renewable resource, and (3) high environmental compatibility and biodegradability.
In this research, ten distinct amino acid-derived vinyl monomers with different hydropathies were synthesized to construct a monomer library for thermo-responsive vinyl polymers. From this library, various vinyl polymers were successfully prepared via controlled living radical polymerizations (RAFT/ATRP). Their thermo-responsive (LCST) behaviors in water were comprehensively characterized to clarify the effects of hydrophobicity of the constituent amino acids, molecular weight, and molecular shape. Furthermore, smart hydrogels equipped with various functionalities, such as injectability, shape fix/memory, and self-healing, were successfully developed from the LCST/UCST-type amino acid-derived vinyl polymers. These eco-friendly smart polymer systems are important to achieve the SDGs.

Related SDGs

9 "Industry, Innovation and Infrastructure"
12 "Responsible Consumption and Production"
15 "Life on Land"

Development of the Next "Shinzan-Daitaku" for Education and Society: An Extension of Cosmology Based on Conscience

SDG4 icon SDG7 icon SDG13 icon
Principal Researcher:
KOHARA Katsuhiro (Professor, School of Theology)
Research Outline

This research project will succeed the research project adopted in FY2022, "The Next "Shinzan-Daitaku" Project: Expansion of the Concept of Conscience and its New Practices," and will further refine the unique perspective and methods of Doshisha, while developing the previous project with a focus on the following three new points.
(1) Space development and SDGs (in collaboration with JAXA)
In order to solve the issues of the SDGs from a long-term perspective, the relationship with space research and development is indispensable. Joseph H. Neesima, the founder of Doshisha, said, "A university is a place for the cultivation of knowledge and the study of space principles" ("The Purpose of the Establishment of a Private University to the People of Kyoto," 1888). When Neesima described his ideal image of a university, not only "Shinzan-Daitaku" ("big pond in the deep forest" from a Chinese classic) but also "cosmos" were important keywords. In order to reflect Neesima's cosmology in the present age, we aim to produce new results in the areas of space development and SDGs in cooperation with JAXA.
(2) Expansion into next-generation education (in collaboration with Doshisha corporate schools)
In order to achieve the goals of the SDGs, it is extremely important to educate the next generation who will be responsible for society and the global environment in the future. For this reason, this project will collaborate with Doshisha's school corporation.
(3) Social development (collaboration among industry, government, and academia, and science communication)
The project will collaborate with industry, which plays an important role in achieving carbon neutrality. In addition, science communication will be practiced to foster appropriate discussions.

Research Results

This research project focused on the following three points in FY2023.
(1) Space development and SDGs (in collaboration with JAXA)
On February 2, 2024, a public symposium entitled "The Future Seen from SORA-Q: Toward a New Cosmology for Human Society" was held. Professor Kimitaka Watanabe (creator of the ultra-compact transformable lunar robot nicknamed SORA-Q), a co-researcher of this project, talked about the episodes from the development of SORA-Q to its implementation in SLIM. After that, Dr. Hirokazu Adachi (principal researcher of the CALLISTO project, JAXA), and Profs. Katsuhiro Kohara and Takuya Goto discussed the relationship between space development and SDGs.
(2) Expansion to next-generation education (in collaboration with Doshisha schools)
In order to achieve the goals of the SDGs, it is extremely important to educate the next generation, who will be responsible for society and the global environment in the future. To this end, this project aims to collaborate with Doshisha Space Project25, an organization within the Doshisha.
(3) Development in society (collaboration among industry, government, and academia, and practice of science communication)
The goal is to collaborate with industry, which plays an important role in achieving carbon neutrality. As part of this objective, we visited the JAXA Tsukuba Space Center on February 3, guided by co-research Dr. Yasuaki Iwabuchi, and held a research seminar on SDGs and space development.


Related SDGs

4 "Quality Education"
7 "Affordable and Clean Energy"
13 "Climate Action"

A Content analysis of Japanese Television programs about new SDGs keyword ”Blue Carbon”, from the perspective of SDGs-Communication

SDG7 icon SDG13 icon SDG14 icon
Principal Researcher:
MASU Taichi (Assistant Professor, Harris Science Research Institute)
Research Outline

The purpose of this study is to investigate how Japanese TV programs introduce the relatively unknown scientific term "Blue Carbon" to the audience in the Kanto region. "Blue Carbon" is a crucial SDGs term that refers to the carbon fixed from the atmosphere by marine ecosystems and stored in them, which helps to counter climate change. Promotion of public recognition and understanding about "Blue Carbon" is closely related to "7. Energy," "13. Climate Action," and "14. Oceans."
By analyzing the content of TV programs that introduce "Blue Carbon" during a certain period of time, this study examines the following three points: (1) Which TV genre introduced "Blue Carbon" and to what extent, (2) What specific direction techniques were employed to promote its recognition and understanding, and (3) to what extent the TV programs contribute to raising public awareness of this term and developing an accurate understanding of the scientific term. These analyses will be jointly conducted by Taichi Masu (Science Communication Theory) from the Harris Science Research Institute and Yasuhito Abe (Media & Communication Theory) from the Faculty of Social Studies. The ultimate goal of this collaborative research is to demonstrate the effectiveness of television as a "SDG communicator," highlighting its potential to raise public awareness and understanding of important SDGs-related scientific issues, and its limitations.
This study will provide valuable insights for media workers, and other stakeholders interested in effectively communicating complex scientific concepts to a wider audience.

Research Results

Our study investigated the role of terrestrial television in communicating scientific aspects of the increasingly recognized SDGs term "blue carbon." Throughout the year from March 1, 2023 to February 29, 2024, we identified all programs in which the term "blue carbon" was introduced on terrestrial TV stations in the Kanto area, and obtained video data from recordings. In total, 22 programs met the criteria, with the majority being news broadcasts. However, our research indicated a broad diversity in station types and program genres, with notable differences in presentation methods directorial approaches, and the quantity of scientific information.
Furthermore, a concurrent perception research demonstrated that "blue carbon" is gaining recognition in society. We also conducted web-based social survey immediately after the broadcast of a specific program, in an attempt to elucidate the correlation between program viewership and the amount of scientific knowledge gained. The findings suggest both potential and limitations of television medium for SDGs communication, and are currently under further detailed analysis.
Some of the preliminary results of the research have been shared in an oral presentation at the International Amamo Blue Carbon Workshop Amamo2023 and published in the Journal of Science Communication. 

Related SDGs

7 "Affordable and Clean Energy"
13 "Climate Action"
14 "Life below Water"

Refugee and Migrant Crisis in the Divided World

SDG1 icon SDG10 icon SDG16 icon
Principal Researcher:
NAITO Masanori (Professor, Graduate School of Global Studies)
Research Outline

The 2015 European refugee crisis occurred primarily due to the outflow of refugees to the EU who had fled to neighboring Turkey due to the Syrian civil war (Goal 16). But since then, the outflow of refugees from Iraq, Afghanistan, and African countries has not stopped. Based on this recognition of the current situation, this study will (1) identify the changes and the latest situation in the movement of refugees and migrants from the Middle East and Islamic regions to Europe, (2) clarify the situation and problems of treatment in the host countries, and (3) identify what academic knowledge is needed to improve the world's fragmented situation. (3) What kind of academic knowledge is needed to improve the world's fragmented situation? That this research agenda is an urgent issue that is directly related to many of the SDGs by the UN is evident in the fact that the world was once again confronted with the outbreak of refugees caused by the war in Ukraine in 2022. Achievement of the SDG goals by the UN is being held back by pandemics and war. This multilayered problem of human mobility is the greatest challenge to the world since the end of the Cold War, and Niijima's belief that every person counts and that no one should be left behind is the basis for this research.

Research Results

This research attempts to consider the various problems brought about by the migration and refugees across borders in relation to the SDGs in an increasingly divided world. In the quarter century since the beginning of the 21st century, the world has experienced too many wars and civil wars, forcing the most vulnerable people to migrate. The movement of people is rapidly diversifying due to economic disparities within countries and environmental changes caused by climate change, and it is no longer possible to objectively distinguish between immigrants and refugees. Under these circumstances, Turkey, a neighboring country to the countries involved in the conflict and located on the border between Europe and the Middle East, has accepted many refugees. Turkey not only accepts up to 4 million refugees from the Syrian civil war that began in 2011, but also receives large numbers of refugees and irregular immigrants from Afghanistan, Iran, and other countries. This study examined how Turkey's transition from being the largest migrant-sending country in the Middle East to a host of large numbers of migrants and refugees has affected Turkey's domestic politics and foreign policy. In particular, field research revealed the reason why, despite having such a large number of refugees, refugee exclusion and xenophobia did not emerge as in Europe. Some of the research results were published in Iwanami Shinsho, ``Turkey's Self-Portrait 100 years after its Founding.''

Related SDGs

1 "No Poverty"
10 "Reduced Inequalities"
16 "Peace, Justice and Strong Institutions"

Establishment of research platform for brain senescence using human iPSC technology towards longer health expectancy

SDG3 icon SDG4 icon SDG9 icon
Principal Researcher:
NISHIMURA Kaneyasu (Associate Professor, Organization for Research Initiatives and Development)
Research Outline

Parkinson's disease is a common neurodegenerative disorder that is characterized by the selective loss of midbrain dopaminergic neurons. As most patients are over 65 years of age, the establishment of preventive and therapeutic strategies for Parkinson's disease is an urgent issue to enhance the quality of life for patients, their families and medical staffs involved in the care of the patients. A postmortem study of patients revealed that α-synuclein aggregates propagate through the brain in a prion-like manner with a pattern corresponding to synucleinopathy staging before onset of motor symptoms. The death of dopaminergic neurons caused by the spread of aggregated α-synuclein protein in the brain is known to be one of the triggers in the pathogenesis of Parkinson's disease. Therefore, developing preventive strategies for the pathogenesis of synucleinopathy may contribute to reducing the number of Parkinson's disease patients and extending their healthy lifespan.
Human induced pluripotent stem cells (iPSCs) have the capacity to self-renew and generate all the cell types including neurons, making them a valuable source for understanding the pathogenesis of human neurological diseases. In addition, recent advances in human iPSC culture have enabled the induction of three-dimensional brain-like morphology, which can recapitulate the pathophysiology of neurological diseases.
This research project aims to contribute to achieving the SDGs (Goals 3, 4, and 9) through the following research using human iPSC technology.

Research Results

In this study, we have developed a new method for the generation of multi-regional brain organoids from human induced pluripotent stem cells (hiPSCs) by modifying a conventional method for the generation of brain organoids (Goal 9). We conducted immunohistochemistry, gene expression analysis, RNA-sequencing, and calcium imaging to characterize the multi-regional brain organoids we generated. Our brain organoids exhibited specific marker expression and molecular signatures of target regions. Subsequently, we recaptured the molecular pathology of synucleinopathy, as observed in Parkinson’s disease and Lewy body dementia etc. To mimic the molecular mechanisms underlying the propagation of α-synuclein throughout the brain using our multi-regional brain organoids, we initially established α-synuclein knockout hiPSCs and α-synuclein-inducible hiPSCs through CRISPR-Cas9-mediated gene knockout and a piggyBac transposon-based transgenic system, respectively. We successfully generated α-synuclein-deficient hiPSCs that lack the endogenous α-synuclein expression. Additionally, we achieved the generation of α-synuclein-inducible hiPSCs that express α-synuclein protein upon doxycycline treatment. Furthermore, we confirmed that both cell lines maintained neuronal differentiation capacity under our protocols. We are currently investigating to recapture the α-synuclein propagation throughout the brain using our cellular resources. Our approach utilizing hiPSCs offers advantages in elucidating the pathogenesis of synucleinopathy, which predominantly affects the elderly population. This could facilitate an understanding of diseases and their molecular pathogenesis in collaboration with researchers and students inside and outside the university (Goals 3, 4). In the future, based on a comprehensive understanding of the molecular pathogenesis of diseases, we aim to further develop research field contributing to extending healthy lifespan by establishing preventive and therapeutic strategies.

Related SDGs

3 "Good Health and Well-being"
4 "Quality Education"
9 "Industry, Innovation and Infrastructure"

Synthesis of Biocompatible and Sustainable Polyester Comprising Glycerol as Raw Material

SDG7 icon SDG14 icon SDG15 icon
Principal Researcher:
NISHIMURA Shinnosuke (Assistant Professor, Faculty of Science and Engineering)
Research Outline

Pollution of the soil and sea by microplastics generated from polymer materials and waste of energy resources due to supply of the excess materials have been big problems in the world. In order to solve these problems, it is necessary to develop novel polymer materials with both biodegradability and biocompatibility which make effective use of biomass and achieve resource recycling. From the above background, our study aims to create biodegradable polymer materials derived from biomass that are safe for living organisms.
In this study, we focused on glycerol as a bio-based row material. Glycerol is a by-product produced during the production of biodiesel fuel made from waste cooking oil. The BDF is a clean fuel and an attractive energy source, which can achieve carbon neutrality with virtually zero carbon dioxide emissions, because the fuel does not use fossil resources. However, the by-produced glycerol is currently disposed of as industrial waste. If biocompatible and biodegradable polyester can be synthesized from the by-produced glycerol, which is biomass, it contributes to carbon neutrality and be significant as a sustainable synthetic technology. Thus, this research, which develops biomass-based and bio-friendly polyester, will lead to the achievement of resource recycling and environmental conservation set forth in the SDGs.

Research Results

Pollution of the soil and sea by microplastics generated from polymer materials and waste of energy resources due to supply of the excess materials have been big problems in the world. In order to solve these problems, it is necessary to develop novel polymer materials with both biodegradability and biocompatibility which make effective use of biomass and achieve resource recycling. From the above background, our study aimed to create biodegradable polymer materials derived from biomass that are safe for living organisms.
In this study, we focused on glycerol as a bio-based row material. Glycerol is a by-product produced during the production of biodiesel fuel made from waste cooking oil. The BDF is a clean fuel and an attractive energy source, which can achieve carbon neutrality with virtually zero carbon dioxide emissions, because the fuel does not use fossil resources. However, the by-produced glycerol is currently disposed of as industrial waste. This study established to synthesize biodegradable polyester from glycerol. Our technique, which develops biomass-based and bio-friendly polyester, will lead to the achievement of resource recycling and environmental conservation set forth in the SDGs.

Related SDGs

7 "Affordable and Clean Energy"
14 "Life below Water"
15 "Life on Land"

Are there "colors" in the SDGs? ~Empirical Study of the Impact of Differences in SDGs on Crowdfunding Success or Failure~

SDG17 icon
Principal Researcher:
NOSE Yoshiaki (Professor, Graduate School of Business)
Research Outline

・In this study, we analyze the impact of the differences in each of the SDG goals based on the success or failure of fundraising through governmental crowdfunding (hereafter referred to as GCF). The analysis is conducted with the cooperation of TRUSTBANK, Inc.
・The response to the SDGs is essential for local governments. However, their financial resources are limited, and they need to raise additional funds.
・Hometown Tax Payment System is a new fundraising tool for local governments. However, the cost is excessive due to the need for expensive gifts in return. GCF, on the other hand, does not require any return gift. Taxpayers' attention is focused on how the funds are used.
・In essence, each of the 17 SDG goals is equally significant. They are not prioritized or weighed lightly. However, in the actual GCF, it is known that some goals are popular, and some are unpopular.
・This study aims to/will identify the SDG goals that are attractive to taxpayers. If SDG goals that are likely to bring in funds even without the need for gifts are identified, municipalities will be able to raise funds efficiently by concentrating on those goals.

Research Results

This study explores the success factors of crowdfunding initiatives undertaken by local governments, specifically utilizing the Furusato Nozei (hometown tax donation) system in Japan, referred to as Government Crowdfunding (GovCF). Through a comprehensive analysis of 1,476 campaigns from September 2013 to September 2022, facilitated by Trust Bank Corporation, this research reveals key insights into enhancing the effectiveness of GovCF in addressing societal issues, with a particular focus on its alignment with the Sustainable Development Goals (SDGs).
The findings underscore the significance of certain signals, such as frequent progress updates, in increasing the likelihood of campaign success, while the presence or absence and the number of return gifts (rewards) showed no direct impact on the outcome. Notably, campaigns that allocated funds toward solving specific societal challenges demonstrated a higher success rate, suggesting a potential for GovCF to lower fundraising costs when directed at SDGs-related objectives.
The analysis further delves into the impact of SDGs themes on campaign success. Campaigns aligned with certain SDGs, notably those aimed at eradicating poverty and reducing inequalities, showed a greater success rate. This indicates that GovCF can be a potent tool for local governments to contribute to the global agenda for sustainable development by focusing on projects that address key areas of the SDGs.
Future research directions include deeper investigations into why certain SDGs themes lead to more successful crowdfunding efforts and how GovCF can be optimized across different municipalities and cultural contexts. This study illuminates the potential of GovCF as a mechanism for local governments to engage in sustainable development, suggesting that more focused efforts on specific SDGs can not only attract more support but also contribute significantly towards achieving global sustainability targets.

Related SDGs

17 "Partnerships for the Goals"

Innovative Creation of Global Education and Research Environment to Realize Diversity and Inclusion beyond Gender Equality

SDG4 icon SDG5 icon SDG10 icon
Principal Researcher:
SAKITA Tomoko (Professor, Faculty of Global and Regional Studies)
Research Outline

New ideas or discoveries can only be generated in an academic environment that respects, promotes, and appreciates diversity and individual differences as well as preferences. In such an environment, people would not only accept but also respect and encourage diversity, treating individual differences as a starting point.
Our study employs a cross-disciplinary design to make our academic and working environment a better place for students and scholars to pursue academic and professional goals without any restriction. We will conduct research in five disciplines (pedagogy, international relations, linguistics, gender studies, and anthropology) and cover the SDG goals of education, inequality, and gender, in order to reconsider and integrate questions about multiple inequalities and to make it easier for people to learn and share global ideas. While the debate has grown in each academic discipline addressing the numerous inequities, our goal is to connect and recapture them with a cross-disciplinary approach in order to facilitate globally integrated education and communication means and perspectives in our society. Specifically, we will address the following issues: the meaning of gender and ethnicity, the educational effects of diversity, the achievement of multilingual global campus, the interaction between various disciplines in cross-disciplinary and trans-disciplinary ways, the educational and research environment for women researchers, and the examination of inequality issues in accordance with the UN Women internationally recognized guidelines. Thus, we will move beyond gender inequality issues to creating a better model that embraces diversity and individual differences in various circles of our societies.

Research Results

This interdisciplinary project aimed to achieve the SDGs of education, inequality, and gender and to realize a minority-friendly global campus where all students and faculty members can learn freely and explore their abilities. To break away from the dichotomous mindset and to build a model for a global society based on diversity, using gender theory as a starting point, we grasped the current situation regarding the excesses and deficiencies in diversity initiatives, biases in thinking that serve as barriers, changes in policies, and the impact of diversity. We networked with the Gender Equality Offices and Diversity Promotion Offices at other institutions. In particular, we sought a work-life balance support system to improve the environment for women researchers caring for children and older adults. We organized a public symposium, “Diversity and Global Education: From a Perspective Beyond Gender,” and raised several issues, including the current situation surrounding women in education and research, the impact of institutional language in education, the diversity in gender-specific medicine, and the human growth strategy from the perspective of language and biodiversity. This innovative project was well received with favorable reviews, as the panelists presented their research with their children and presented role models. The students, representing the next generation, participated in vigorous roundtable discussions.

Related SDGs

4 "Quality Education"
5 "Gender Equality"
10 "Reduced Inequalities"

A study on the process of starting business by women entrepreneurs in small firms

SDG4 icon SDG5 icon
Principal Researcher:
SEKI Tomohiro (Professor, Faculty of Commerce)
Research Outline

According to the World Economic Forum, Japan's "Gender Gap Index" in 2022 ranks 116th out of 146 countries, making it a gender-backward country. On the other hand, in the corporate world, the number of companies exceeding the government target of 30% women in managerial positions (section manager or above) remains in the single digits (according to a survey by Teikoku Databank), but the percentage of women in managerial positions in small companies is relatively high.
One of the reasons for this high percentage may be the presence of female directors of small firms, i.e., women entrepreneurs. However, there are several known hurdles to achieving small business management that allows women to exercise their abilities at their own discretion in the corporate world. It is not always clear how women can become entrepreneurs and how they can play an active role in Japanese corporate society. Therefore, in order to contribute to eliminating the gender gap in Japanese corporate society, this study aims to reveal the entrepreneurial process and the entrepreneurial education of starting and managing a series of small firms for women entrepreneurs.

Research Results

The aim of this study was to clarify the entrepreneurial process and the education required to start and manage a series of small-scale enterprises with women entrepreneurs. Women entrepreneurs are introduced here. One of them left a company where she had worked as a career-track employee after graduating from university, got married and had a baby, looked for a job but found no place to work, and decided to start her own online shop. She then started a business importing and selling hair accessories, and then started a second business to reduce food loss, which she started for the second time. The other decided to start a business while still at university and, upon graduation, started a café, making use of her part-time work experience in restaurants. Although there were waves of sales, she has steadily expanded her business and has developed several businesses, including kimono rental and Korean BBQ.
What these two women entrepreneurs have in common is that they have faced various hardships over time, but have developed their businesses with flexibility and resilience. Until now, the focus of entrepreneurial behavior has been on how to scale up a business in a short period of time, as seen in the case of start-ups. In order to produce more women entrepreneurs in society, it is necessary to recognise the diversity of business development, which has its up-and-down and the way entrepreneurship is unique to women. It is also important to include this perspective on the feminine entrepreneurial process in entrepreneurship education. It is hoped that this will help to bridge the gender gap in enterprise community in Japan.

Related SDGs

4 "Quality Education"
5 "Gender Equality"

Exploring the value of the SDGs in Firms; Exploring Firm/Employee value calculations Phase 2

SDG5 icon SDG8 icon SDG10 icon
Principal Researcher:
SUGAI Philip (Professor, Graduate School of Business)
Research Outline

The objective of this research project is to better understand how to measure the value that (1) senior leaders and (2) workers assign to achieving specific outcomes related to the UN's sustainable development goals 5, 8, & 10, and to compare these both inside of individual companies and across a group of 20 different companies in Japan.
We will focus on how the views of employees and senior leadership on Employee Value align, and what impact this have on overall company performance.
We have already developed a survey based on the 6 employee value themes we have previously identified, as well as 23 behaviors that companies can take related to these themes to demonstrate their commitment to creating long-term employee value.

Research Results

In addition to the papers and presentations outlined above, I continue to work to open these results to the public through public lectures and presentations where possible.  First, together with Heather Young, communications director at the Okinawa Institute of Science and Technology (OIST), we have written a short article that synthesizes the key points and insights that were discussed in the UNGA Science Summit and GIVS 2023 and have just sent them to the editors of the Japan Times for publication.
Additionally, my research was covered in a half-page article in the Nikkei Newspaper this year, highlighting the importance of this research and its effect on business practices in Japan and globally. This article can be referred from Nikkei Newspaper on August 22nd, 2023.  
Going forward, this research is continuing to gain global interest, and next month on May 23rd, 2024 I have been invited to Responsible Investor Japan (RI Japan) to be a panelist for their discussions of sustainability reporting, AI and the future of ESG. This is all completely related to the SDGs and their future, and I hope that I can continue to support the evolution in thinking around the SDGs and their future trajectors.

Related SDGs

5 "Gender Equality"
8 "Decent Work and Economic Growth"
10 "Reduced Inequalities"

Next-generation cultural heritage marketing in Kyoto world heritage “Nijo Castle”

SDG4 icon SDG11 icon
Principal Researcher:
TADA Minoru (Professor, Faculty of Policy Studies)
Research Outline

This study will clarify that autonomous and sustainable community development is possible in Nijo Castle if the potential "value" of the area can be found by applying "value-driven marketing" to community development. For this purpose, in addition to quantitative analysis based on questionnaire surveys, we will attempt to generalize and systematize the methodology as "next-generation marketing for community revitalization" by trying qualitative analysis approaches that take into account affective science, such as using PR videos produced by the young people who will lead the next generation to verify their reactions, and to develop a "value-driven marketing" approach that can be applied to the restoration of cultural heritage. The aim is to develop a marketing strategy that will break through the current situation of Nijo Castle, which has not been able to raise funds for restoration.
In recent years, maintaining cultural heritage has become a challenge due to the enormous costs involved. In particular, cultural heritage sites that are not temples and shrines have become an urgent issue in terms of maintenance, as they have few sources of income. Therefore, based on empirical research findings, this study constructs a model for a marketing strategy that creates value for cultural heritage sites and their surrounding areas, using Nijo Castle in Kyoto as a model. This has great potential to construct and propose a general-purpose marketing strategy that can be widely applied to cultural heritage sites in Japan and abroad to create multifaceted value for cultural heritage.

Research Results

In order to consider sustainable cultural heritage marketing based on SDG Goals “4. Education” and “11. Sustainable Cities,” this study conducted research and analysis on Nijo Castle and its surroundings. The results were published on a dedicated website, “Doshisha University SDGs Research Project: Cultural Heritage Marketing from Nijo Castle” (https://joma-doshisha.jp/). The concept of value-driven marketing, known as “Marketing 3.0,” was used as the core concept of the project, focusing not only on the highlights introduced on the official Nijo Castle website and tourist guide websites, but also on emotional things and events hidden in other parts of the castle. The project focused not only on the highlights of the official site and tourist guide websites, but also on the emotional (emotionally moving) things and things that are hidden in other parts of the site. In addition to regional marketing, the columns (essays) were published from the perspective of geography, along with a wealth of data on events related to Nijo Castle in transition over the past 40 years. In addition, as an educational application, in collaboration with the Kyoto World Heritage PBL course, students conducted fieldwork and proposed the results to Nijo Castle (Kyoto City) by presenting recommendations obtained through this research on the “value” of Nijo Castle as conceived by the students.

Related SDGs

4 "Quality Education"
11 "Sustainable Cities and Communities"

Development of a novel therapeutic agent for SARS-CoV-2 infections by targeting the receptor binding site of the CoV spike glycoprotein.

SDG3 icon
Principal Researcher:
TAKAHASHI Miho (Assistant Professor, Faculty of Life and Medical Sciences)
Research Outline

Development of new therapeutic drugs against SARS-CoV-2 infection can contribute to achieving the SDG 3, “good health and well-being for all ages”. The trimeric spike glycoprotein (S protein) is the major envelop protein of SARS-CoV-2, which is responsible for the receptor binding and viral entry into the host cell. The S protein contains a receptor binding domain (RBD), which can recognize the cell surface membrane protein, angiotensin-converting enzyme 2 (ACE2). Previously, we identified the peptide motifs that can bind to the RBDs of trimeric S protein with high affinities using the multivalent peptide library technique that we developed. In this project, we will synthesize the multivalent peptides containing candidate motifs and analyze the binding activities and specificities of these candidate peptides toward the RBD of S protein using biological experiments. Additionally, we will evaluate the inhibitory activities of these peptides against membrane fusion via the interaction between S protein and ACE2. These compounds can be used as novel therapeutic agents against SARS-CoV-2 infection.

Research Results

The development of new therapeutic drugs for severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) has the potential to contribute to the achievement of the Sustainable Development Goal 3 (SDG 3), which aims to ensure “good health and well-being for all ages”. When SARS-CoV2 enters target cells, it is crucial for the S protein on the surface of the virus to interact with the ACE2 receptor expressed on the cell membrane. Our study focuses on developing peptide-based SARS-CoV2 inhibitors that target the receptor-binding region (RBD) of the S protein to prevent viral infection. Previously, we identified ten tetravalent peptides that strongly bind to the RBD by using a multivalent peptide library screening. In this study, we found that three of these tetravalent peptides efficiently inhibited the interaction between RBD and ACE2 at concentration below 1 M. In fusion assay experiments measuring membrane fusion resulting from the interaction between independently expressed S protein and ACE2 on the cell membrane, we observed that these three peptides inhibit membrane fusion in a concentration-dependent manner. Currently, we are evaluating the activities of other candidate tetravalent peptides.

Related SDGs

3 "Good Health and Well-being"

Research on the development of a programme for fostering the next generation to contribute to environmental conservation

SDG4 icon SDG12 icon SDG13 icon SDG14 icon SDG15 icon
Principal Researcher:
URYUHARA Yoko (Professor, Faculty of Commerce)
Research Outline

The goal of this series of studies is to contribute directly to the achievement of the SDGs by developing and implementing an 'education programme and its evaluation indicators' that will enable the next generation (from primary school to university students) to take voluntary environmental conservation action.
In this research, specific environmental conservation behaviours are set, the 'behavioural barriers', 'behavioural motives' and 'values' for the next generation to make these behaviours their own and implement them are clarified, and programmes incorporating these insights are developed, implemented and measured.
Various actions can be considered, for example, if each person takes the action of choosing a product with a certification mark (eco-labelling) and communicating that it is a social good, this will expand the circle and influence the production behaviour of the company.
The project plans to set up actions and implement them in model regions, taking into account which actions will contribute more to the achievement of the SDGs. Furthermore, the knowledge will be accumulated and refined into a universal programme that can be implemented nationwide.
As this is a social implementation study, it is characterised by its direct contribution to problem solving and the use of social marketing methods*.
*https://o-socialmarketing.jp/

Research Results

This research relates to Goals 4, 12 and 15 of the SDGs. The goal of the series of studies is to contribute directly to the achievement of the SDGs by developing and implementing educational programmes and their evaluation indicators that will enable the next generation to take voluntary environmental conservation action.
In the research in FY2023, an 'educational programme including exhibits with a storyline and experience booths' was developed, implemented and verified to encourage parents and children (parents with primary schools children and those in their 30s and 40s) to become interested in biodiversity conservation action and to investigate on their own.
Furthermore, a video summarising the results was created, and a quantitative survey was conducted with 400 primary school teachers and 1,000 parents with primary school children to analyse the level of acceptance of the educational programme and its future development.
As a result, we developed and demonstrated an education programme characterised by the following.
(1) Designed in accordance with academic processes
(2) Can be implemented regardless of location.
(3) It leads to children's research and learning, and follow-up is possible after participation.

Related SDGs

4 "Quality Education"
12 "Responsible Consumption and Production"
13 "Climate Action"
14 "Life below Water"
15 "Life on Land"

Innovations in Industry 4.0 and Their Impact on Sustainable Manufacturing

SDG9 icon SDG12 icon
Principal Researcher:
YIN Yong (Professor, Graduate School of Business)
Research Outline

The rapid emergence of Industry 4.0 has significantly influenced the manufacturing sector, with groundbreaking technologies and automation becoming integral components in the industry's transformation. As these innovations continue to reshape the landscape of manufacturing, it is essential to examine their impact on sustainable manufacturing practices and the ways in which they can be harnessed to foster responsible production. This research proposal aims to delve into the intricate relationship between Industry 4.0 innovations and sustainable manufacturing, meticulously analyzing the potential benefits and challenges associated with incorporating Industry 4.0 technologies into sustainable manufacturing processes.
The overarching objective of this research is to scrutinize the influence of Industry 4.0 innovations on sustainable manufacturing, striving to pinpoint the advantages and hurdles involved in implementing these state-of-the-art technologies within sustainable manufacturing procedures. By conducting an in-depth investigation, the research will illustrate how Industry 4.0 can be employed to make production processes more environmentally friendly, resource-efficient, and socially responsible.
Furthermore, this research will provide valuable insights and guidance for manufacturers seeking to incorporate Industry 4.0 technologies into their operations. By identifying best practices and potential pitfalls, the research will equip manufacturers with the knowledge they need to make informed decisions about adopting Industry 4.0 strategies while maintaining a strong commitment to sustainability.
In addition to assisting manufacturers in their pursuit of sustainable manufacturing, this research will also serve as a valuable resource for policymakers. By shedding light on the various ways in which Industry 4.0 can contribute to sustainable manufacturing, the research will enable policymakers to develop well-informed regulations and incentives that encourage the integration of Industry 4.0 technologies into eco-friendly manufacturing practices.
In summary, this comprehensive research proposal will explore the intricate relationship between Industry 4.0 innovations and sustainable manufacturing, delving into the benefits and challenges associated with the adoption of these cutting-edge technologies. By providing valuable insights and guidance for manufacturers and policymakers alike, this research will ultimately contribute to the promotion of responsible, sustainable production in the ever-evolving landscape of the manufacturing industry.

Research Results

In 2023, our research activities focused on the progression of Industry 4.0, the use of seru systems, and the management of supply chain disruptions, aiming to provide sustainable solutions to critical challenges in modern manufacturing while emphasizing their relevance to the Sustainable Development Goals (SDGs).
Our first research theme examined the impact of Industry 4.0 innovations on manufacturing, with particular emphasis on enhancing sustainable manufacturing processes. We explored how advancements in automation and data analytics contribute to environmentally friendly manufacturing methods by improving energy efficiency and reducing waste, thus supporting SDG Goal 12, which is to ensure sustainable consumption and production patterns. This study also addressed the challenges these technologies face in sustainable manufacturing, such as technological complexity and significant initial investments.
In our second theme, we analyzed how seru systems improve efficiency and flexibility in manufacturing compared to traditional mass production systems. Seru systems, characterized by their capability to quickly switch between different products, enable the efficient production of small batches of various products, thus enhancing the adaptability of production systems to market fluctuations. This aligns with SDG Goal 9, which aims to build resilient infrastructure, promote inclusive and sustainable industrialization, and foster innovation.
Lastly, our research on supply chain disruption management delved into how Just-In-Time (JIT) and Just-In-Case (JIC) strategies manage and sometimes overcome the vulnerabilities of supply chains. We emphasized the importance of flexible strategy adaptation according to the situation, moving away from reliance on a single strategy. This research not only relates to SDG Goal 9 but also supports SDG Goal 17, which is to strengthen the means of implementation and revitalize the global partnership for sustainable development.
Overall, our 2023 research activities deepened our understanding of how Industry 4.0 technologies, seru systems, and strategic supply chain management contribute to achieving sustainable manufacturing. These findings offer practical steps towards achieving the SDGs, providing valuable insights for manufacturers and policymakers.

Related SDGs

9 "Industry, Innovation and Infrastructure"
12 "Responsible Consumption and Production"

Establishing ICT-enhanced “University Tuition Insurance Platform” – to avoid students' unexpected financial difficulties of continuing education

SDG1 icon SDG4 icon SDG10 icon
Principal Researcher:
YOSHIDA Etsuaki (Professor, Graduate School of Business)
Research Outline

This research is intended to construct a conceptual framework that enables those college students that face unexpected financial difficulties and that must leave the college because of that financial reason. The framework focus on insurance mechanism with a good use of information and communication technology, which enables continuation of their education under such circumstances. From the perspective of correcting economic disparities and leading to the continuation of education, it falls into the category of Goals 1, 4, and 10 of SDGs.
Not just due to the recent covid outbreak, there are surprisingly many cases where students / their parents have unexpectedly become unable to work, making it difficult to pay tuition fees, and giving up on continuing to attend university. According to a survey by the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology, 20% of university dropouts are for economic reasons. Poverty is a major social issue even in Japan, and the purpose of this research is to develop a concrete mechanism for its solution.
Due to constraints of budget and period, this research alone will not develop a software and insurance products, and implement them. It will bring about practice-oriented research outcome. Some of the research ideas are related to value framework in Islam, which overlaps with part of the principles of the SDGs. Hence, the research results will be interdisciplinary as well.

Research Results

This study is to develop a basic theoretical design for implementing a “university tuition insurance platform” that enables university students to avoid dropping out of school due to financial difficulties. The plan envisions a scheme in which many students participate in this insurance at the time of paying enrollment fees, and in the event that a participating student falls into an impoverished situation that meets certain conditions, an insurance payment equivalent to tuition fees will be given to the student.
The first question that comes to mind is, “Will many students participate in this framework by paying insurance premiums?” This research clarified that participation in this insurance is theoretically supported by rethinking it as mutual aid among students studying at the same university or as a donation to the community of the university, rather than as insurance based on mere profit-loss considerations. Although an insurance license would be required to put this into practice, we found that insurance companies are open to such socially significant projects, given the recent emphasis on the SDGs-related activities, and that existing insurance companies could cooperate with the project.
Overall, this scheme is considered to be a highly significant framework in that it requires only a small amount of funds in total by involving an insurance framework, has clear objectives, is easy to donate to, and makes the university community a place full of trust.

Related SDGs

1 "No Poverty"
4 "Quality Education"
10 "Reduced Inequalities"