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研究課題Research Subjects

2022年度

*研究代表者名のアルファベット順

サステナブル投資によるサプライチェーンの透明化-人権デューデリジェンスの視点から-

SDG8 アイコン

研究代表者:足立 光生(政策学部 教授)

研究概要

持続可能な社会を実現するためには企業の積極的な取り組みと共に、それを評価する投資ならびにインベストメントチェーンが不可欠である。特に国連の調査ではSDGsを達成するために2030年まで年間約5兆から7兆ドルの投資が必要とされている。今こそインパクト投資やESG投資を有効に活用する制度設計が必要とされよう。
本研究の目標は、世界各地にはびこる人権侵害を防ぎ、人間の尊厳を促進するための新たなサステナブル投資のデザインにある。現代の人権侵害は劣悪な労働環境に起因すること場合も多く、強制労働・奴隷的労働がアフリカをはじめ世界各国で大きな問題となっている。また、世界の10人に1人の児童が労働に従事しているとの試算もある。そのためSDGsの目標8とりわけターゲット8.7を重く受け止め、強制労働や現代の奴隷制を終らせる行動が必要とされる。特に企業に問われているのは、取引先企業も含めた「サプライチェーンの透明化(Transparency in Supply Chains , TISC) 」にあり、わが国でも現在サプライチェーン上の取引先企業を調査するための規制の整備が進行中である。以上のことから本研究は劣悪な労働環境を改善し、社会的包摂かつ持続可能な経済成長を誘引するためにTISCを重視する新しいサステナブル投資について考察を行う。

研究成果

本年度に当プロジェクトの助成を受け、とりわけSDGsの目標8の実現を目標として、今回の研究課題「サステナブル投資によるサプライチェーンの透明化-人権デューデリジェンスの視点から-」を推進した。特に本年度においては、世の中全体でも人権デューデリジェンスへの取り組みが一層加速化したため、本研究も企業をとりまく様々な状況変化に大きく動機づけられることとなった。本研究の研究開始時点においては、人権デューデリジェンスの策定と実行が企業価値に及ぼす影響について個別の企業の事例を対象として行ったものの、研究をすすめるなかで、人権デューデリジェンスへの取り組みは同様の課題を抱える企業が協力して取り組むことが必要であるとの認識に至った。そこで業界全体の人権デューデリジェンスへの取り組み事例に対して検証を行った結果、人権デューデリジェンスの策定と実行が業界全体の価値を向上させる可能性を示唆した。また、これらの検証結果をふまえ、持続可能な社会を実現するための新たなサステナブル投資のデザインについてもまとめた。以上の経過から、これらの研究成果をまとめた単著の論文が2023年8月に発行される予定である。

関連するSDGs:

8「働きがいも経済成長も」

京都の民族学校と地域社会の関係構築のための研究

SDG4 アイコン SDG10 アイコン SDG16 アイコン

研究代表者:板垣 竜太(社会学部 教授)

研究概要

本研究は、日本社会の偏見と差別にさらされている朝鮮学校が、地域住民や観光客と積極的な関係を築きながら、持続可能な発展をしていくことに資することを目的としている。具体的には、京都にある朝鮮学校とその近隣地域に関わって現在進みつつある「坂道ぷろじぇくと」と連動し、保護者らを含む学校関係者や近隣住民らと協働としながら、朝鮮学校と地域社会に関わる冊子およびコンテンツを作成する。本研究は、SDGsのゴールとターゲットでいえば、不平等・差別の是正や公正に関わる10(特に10.3)および16(特に16.3、16.b)や、そこに通う子どもたちの安全・安心と非-排除に関わる4(特に4.a)に対応する。このプロジェクトは、より差別のない学習環境を確保する朝鮮学校の関係者にとっても、伝統と多様性の共存するまちづくりというリソースを得る地域住民にとっても、「ユニークなもう一つの京都」を堪能できる観光客にとってもウィンウィンの関係を目指すものであるだけに、インクルーシブな社会の構築のモデル事業ともなりうるものである。

研究成果

本研究は、日本社会の偏見と差別にさらされている朝鮮学校が、地域住民や観光客と積極的な関係を築きながら、持続可能な発展をしていくことに資することを目的としている。本研究は、SDGsのゴールとターゲットでいえば、不平等・差別の是正や公正に関わる10および16や、そこに通う子どもたちの安全・安心と非-排除に関わる4に対応する。
2022年度中には、本研究を同志社大学の社会調査実習とも連動させて、京都の朝鮮学校関係者の体系的なインタビュー調査をおこなった。特に(1)草創期の京都中高生のライフヒストリー、(2)1970~80年代を中心とした学校生活(制服、髪型、学生間関係、日本の近隣住民との関係など)の変化、(3)現在の学生たちの生活と思いについて調査を進め、それを報告書としてまとめた。これ以外にも、京都朝鮮学園の歴史的資料の整理を実施したほか、京都の朝鮮学校で準備されている資料館の内容を分かりやすくまとめる動画の制作を進めた。また、地域社会と朝鮮学校との持続的発展のために障害となっているレイシズムやヘイトクライムについて、司法を通じて改善をはかろうとする取り組みに協力し、裁判所等に意見書を提出した。

関連するSDGs:

4「質の高い教育をみんなに」
10「人や国の不平等をなくそう」
16「平和と公正をすべての人に」

大学における「誰一人取り残さない」ためのアクセシビリティを考える ―「場」としての大学へのアクセシビリティ保障を目指して

SDG4 アイコン SDG10 アイコン
研究代表者:
梶山 玉香(法学部 教授)
共同研究者:

阪田 真己子(文化情報学部 教授)

中瀬 浩一(免許資格課程センター 教授)

河西 正博(スポーツ健康科学部 助教)


研究概要

本取組みは、障がい、言語、居住場所等、個人の様々な「特性」「環境」に起因する社会的障壁に対し、「誰一人取り残さない」ための「アクセシビリティ」とはいかなるものであるかを検討するものである。
大学では、従来、対面授業を前提とし、障がいのある人への情報保障や(キャンパス内の)移動補助を行ってきた。しかし、「アクセシビリティ」の困難は、障がいに限らず、様々な人の特性、それを取り巻く環境・条件の変化によって、あらゆる人に生じる可能性がある。たとえば、コロナ禍では、感染による重症化リスク、入国制限等が対面授業への「障壁」となっている。
授業等の「情報」がオンラインで(も)提供されている場合、移動に困難があったとしても、「アクセシビリティ」の問題は生じないかに見える。しかし、対面とオンラインが混在した状態では、学生や教員が自由に交流できる、共通の「場(空間)」は存在しない。
大学が提供すべきは、「情報」だけではなく、知的交流の「場(空間)」である。そこで、本取組みでは、バーチャル空間や分身ロボット、音声認識、自動翻訳等の技術等を活用し、誰もが等しくアクセスできる「場(空間)」づくりに取り組む。

研究成果

私たちのプロジェクト(誰アクPJいろいろ=「誰一人取り残さない」ためのアクセシビリティをいろいろ考えるプロジェクト。https://dareaku.jimdosite.com/)では、「障害者」に限らず、あらゆる人を「アクセシビリティ」支援の対象と捉えたうえで、バーチャル空間、分身ロボット等の「アバター」を活用することにより、誰もが等しくアクセスできる「場」づくりに取り組んだ。
「誰一人取り残さない」ためのアクセシビリティ保障のため、まず、私たちは、毎回の授業で、受講者に対面で受講するかオンラインで受講するかの選択をさせ、それぞれの状況に最も適した形での受講を可能とした。授業におけるアバターの利用や通称の使用により、受講者は、より気軽に授業へ参加することができた。バーチャル空間を使った授業では、授業の受講者全員(対面での受講者を含む)がバーチャル空間に入って、同じ「場」で議論を行った。その際、音声でのコミュニケーションが難しい人のために、チャットや字幕を用いた。これらは、聴覚障害者だけでなく、音声が使えない状況にあるオンライン受講者、日本語以外を母語とする参加者にも有用であった。
今回の取組みは、多種多様なツールを探索的に用いた点で、やや「総花」的なきらいがあることは否めない。しかし、「誰一人取り残さない」ための手法を探るには必要なアプローチであったことを、最後に付言しておきたい。

関連するSDGs:

4「質の高い教育をみんなに」
10「人や国の不平等をなくそう」

ネクスト「深山大沢」プロジェクト──良心の概念拡張と新たな実践

SDG4 アイコン SDG7 アイコン SDG13 アイコン
研究代表者:
小原 克博(神学部 教授)
共同研究者:

後藤 琢也(理工学部 教授)

稲岡 恭二(理工学部 教授)

林田 明(理工学部 教授)

石川 正道(高等研究教育院 客員教授)

廣安 知之(生命医科学部 教授)

野口 範子(生命医科学部 教授)

櫻井 芳雄(脳科学研究科 教授)

元山 純(脳科学研究科 教授)

武藤 崇(心理学部 教授)

金津 和美(文学部 教授)

八木 匡(経済学部 教授)

和田 喜彦(経済学部 教授)

飯塚 まり(ビジネス研究科 教授)

研究協力者:

服部 篤子(政策学部 教授)

桝 太一(ハリス理化学研究所 助教)


研究概要

新島襄は大学の理想像を「深山大沢」に求めた。本プロジェクトは、それを現代的文脈の中でネクスト「深山大沢」(様々な個性を生かし育む、多様性に満ちた環境)として再構築する。そして、それをSDGsの課題解決のための文理融合の共通プラットフォームとして展開していく。その際、それぞれの課題を統合的につなぎとめるのが「良心」(conscienceの原義は「共に知る」)である。本プロジェクトではSDGsの課題解決のために、良心を概念拡張し、新たな実践の力とする。
SDGsにおける「4. 教育」に関して、「次の環境」協創コースと連携しながら、地域に根ざしたカーボンニュートラルマネジメント人材の育成のために大学、企業、地域を連携させるハブとしてネクスト「深山大沢」を構想する。「7. エネルギー」に対し、本プロジェクトは「リアルなカーボンリサイクル技術を中核とするエネルギー革命」と「再生可能エネルギーの地産地消による地域活性化」の見取り図を示すことを目的とする。「13. 気候変動」に対しては、気候変動の問題を「自分ごと」として受けとめるために「世代を超えてワン・プラネットの居住者である責任を喚起する世代間倫理の構築」を目的とする。

『SDGsネクスト「深山大沢」プロジェクト──ミツバチから宇宙まで』
研究成果

本プロジェクトは、SDGsに対し、他に類例のないユニークな取り組みをするための基盤形成を目指して、晩年の新島襄の最重要キーワードとしての「深山大沢」に着目した。それを未来社会のために展開したのが「ネクスト「深山大沢」」である。「深山大沢」は、新島にとって大学の理想像を表す言葉であった。本プロジェクトでは、それを現代的文脈の中でネクスト「深山大沢」(様々な個性を生かし育む多様性に満ちた環境)として再構築し、SDGsの課題解決のための文理融合の共通プラットフォームとして用いた。
また、分野横断的な研究を活性化するために、「良心」(conscienceの原義=共に知ること)概念の拡張にも取り組んだ。その際、次の3点に注目した。(1)未来世代と「共に知る」良心、(2)大地と「共に知る」良心、(3)人工物(AI・ロボット)と「共に知る」良心の可能性。
本プロジェクトの研究成果を冊子『SDGsネクスト「深山大沢」プロジェクト──ミツバチから宇宙まで』として刊行した(Amazon Kindle版:https://amzn.to/3JpDKv3)。本冊子では、各領域における成果と問題提起を「人を育てる」「社会を変える」「地球を知る」「宇宙に目を向ける」を柱としてまとめ、ネクスト「深山大沢」が持つ空間的・時間的広がりを示した。

関連するSDGs:

4「質の高い教育をみんなに」
7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
13「気候変動に具体的な対策を」

環境負荷の小さな水中のパーフルオロアルキル化合物の新規分離系の開発

SDG6 アイコン

研究代表者:松本 道明(理工学部 教授)

研究概要

「永遠の化学物質」と呼ばれる難分解性のパーフルオロアルキル化合物(PFAS)は、現在4700種類ほど知られている。特に、パーフルオロオクタン酸(PFOA)とパーフルオロオクタンスルホン酸の2つは、その機能性の高さから多くの分野で使用され、生態系に放出されて、アメリカでは大半の水道水に含まれている。それらが体内に蓄積し健康被害をもたらす可能性が指摘されている。そのため欧米においてこれらの物質の水道水の基準値が制定され、わが国では化審法によりPFOAは第一種特定化学物質に指定されている。生態系、特に水道水からのPFASの効率的除去は必要不可欠である。現在それらの除去法は活性炭への吸着が主流であるが、より効率の高い分離手段が求められており、本研究では、環境負荷の小さなプロトン性イオン液体含浸膜法および深共晶溶媒含浸樹脂を用いて新たなPFAS分離技術の開発を行う。PFASは難分解性であることから、生体内残留性が高く、将来の健康障害につながると考えられており、生態系や上水からのPFASの効率的除去法の開発する本研究は、SDGsの目標6「安全な水とトイレを世界中に」のなかで特に6.1「だれもが安全な水を、安い値段で利用できる」および6.6「水に関わる生態系を守り、回復させる」に貢献できる。

研究成果

「永遠の化学物質」と呼ばれる難分解性のパーフルオロアルキル化合物(PFAS)は、現在4700種類ほど知られている。特に、パーフルオロオクタン酸(PFOA)とパーフルオロオクタンスルホン酸の2つは、その機能性の高さから多くの分野で使用され、生態系に放出されて、アメリカでは大半の水道水に含まれている。それらが体内に蓄積し健康被害をもたらす可能性が指摘されている。PFASは難分解性であることから、生体内残留性が高く、将来の健康障害につながると考えられており、生態系や上水からのPFASの効率的除去法の開発する本研究は、SDGsの目標6「安全な水とトイレを世界中に」のなかで特に6.1「だれもが安全な水を、安い値段で利用できる」および6.6「水に関わる生態系を守り、回復させる」に貢献できる。本研究では、不揮発性、難燃性、耐熱性などの特徴を持ち、安全性に優れたグリーン溶媒であるイオン液体をキャリアと可塑剤として含むポリ塩化ビニル膜で水中のPFOAの分離を目的として研究を行った。分離に適した新しいイオン液体を用いることで初めてPFOAの膜輸送に成功した。

関連するSDGs:

6「安全な水とトイレを世界中に」

京都市における子ども・若者主導の気候市民会議の実践的研究

SDG4 アイコン SDG11 アイコン SDG13 アイコン

研究代表者:西山 渓(政策学部 助教)

研究概要

近年、一般市民が専門家や意思決定者と熟議し、市民の目線から長期的な政策提言をする「気候市民会議」が世界各国で行われ、中には重要な政策的成果をあげている。だが、多くの気候市民会議では、将来の当事者となりうる子どもや若者たちの会議への参加が、年齢を理由に叶わなかったという課題がある。
こうした背景から、本研究では「2030年の京都市の気候変動政策」をテーマにした、子ども・若者主導の気候市民会議を実施することを目指す。この「子ども・若者主導」とは、彼/女らが主体となって会議のテーマ・プロセス・デザインを定義し、決定することを指す。この会議は、京都市の子ども・若者によって組織される団体Fridays For Future Kyoto(以下、FFF Kyoto)の協力のもとで行い、約30名の京都市内の子ども・若者が専門家と熟議をし、気候変動への政策提言書類を作成し、京都市地球温暖化対策推進委員会で公表する。
この気候会議はSDGsにおける以下の3点と結びつくが、何よりも重要なことは、これらのゴールの達成が、一貫して子ども・若者の主導のもとで行われることが本研究の特色である。
1. 「13. 気候変動」(特に「13.2気候変動対策の政策と戦略、13.3. 気候変動の緩和や軽減のための啓発や教育、制度の改善」)
2. 「11. 持続可能な都市」(特に11a.持続可能な地域開発、11b. 気候変動の緩和と適応)
3. 「4. 教育」(特に4.7 持続可能な開発のための教育)

研究成果

スウェーデンのグレタ・トゥーンベリ氏によって始まった子ども・若者を中心とする気候変動問題に関する政治活動をおこなうFridays For Futureムーブメントにより、将来世代に対する現代世代の責任が問われることとなっている。特に気候変動問題の解決のためには、将来世代と現代世代の狭間を生きる子ども・若者の声をいかにして社会がより真剣に考慮するかという点が問われている。本研究ではこのFFFの団体の一つであるFridays For Future Kyoto (FFF Kyoto)と共同で小規模の気候市民会議「わたしとあなたの気候対話」を京都市内で開催し、さまざまな世代の人々が気候変動問題について対話をし、連帯するための土壌を形成することを目指した。この会議の特徴は、FFF Kyotoのメンバーらがアジェンダ、対話のルール、対話のプロセス、対話の成果公表、専門知識の共有といった点を主導した点にある。こうした子ども・若者主導の市民会議は、政治的・社会的・文化的に大人と比べて不利益を被りやすい子ども・若者をエンパワーし、より環境と将来世代に配慮したまちづくりと気候変動問題対策を草の根的に広めていくための原動力となる。

関連するSDGs:

4「質の高い教育をみんなに」
11「住み続けられるまちづくりを」
13「気候変動に具体的な対策を」

レーザ誘起グラフェンを用いた構造化スーパキャパシタの創製とその評価

SDG7 アイコン SDG9 アイコン SDG12 アイコン

研究代表者:小武内 清貴(理工学部 准教授)
共同研究者:大窪 和也(理工学部 教授)

研究概要

本研究課題の目的は、バッテリ式電気自動車(BEV)に搭載可能な構造化スーパーキャパシタの試作および評価である。近年、持続可能な開発目標(SDGs)を達成するため、走行中にCO2を排出しないBEVが注目を集めている。しかし、従来のBEVにはいくつかの欠点がある。まず、重量物であるバッテリを機械的負荷から保護するために、BEVのシャシは堅牢となり、車輛重量が従来の内燃機関車のそれよりも増加する。また、BEVに搭載される従来型電池では、その充放電を正確に管理する必要があるため、充電時間が長くなり、利便性に劣る。これらの問題を解決するため、申請者らは、車輛構造体であるCFRPの層間に薄膜スーパーキャパシタを挿入した構造化スーパーキャパシタを提案する。薄膜スーパーキャパシタは、UVレーザをポリマーフィルムに照射することによって製造される。これをCFRPの層間に挿入することにより、スーパーキャパシタへの機械的負荷を抑制可能となる。さらに、従来のバッテリと比較すると、スーパーキャパシタは急速な充放電を可能にする。したがって、BEVに構造化スーパーキャパシタを採用することによって、BEVの主な欠点を効果的に解決できる可能性があると考える。

研究成果

本研究課題の目的は,バッテリ式電気自動車(BEV)に搭載可能な構造化スーパキャパシタの試作および評価である.近年,持続可能な開発目標(SDGs)を達成するため,走行中にCO2を排出しないBEVが注目を集めている.しかし,従来のBEVにはいくつかの欠点がある.まず,重量物であるバッテリを機械的負荷から保護するために,BEVのシャシは堅牢となり,車輛重量が従来の内燃機関車のそれよりも増加する.また,BEVに搭載される従来型電池では,その充放電を正確に管理する必要があるため,充電時間が長くなり,利便性に劣る.これらの問題を解決するため,申請者らは,車輛構造体であるCFRPの層間に薄膜スーパキャパシタを挿入した構造化スーパキャパシタを提案した.本研究課題では,UVレーザをポリイミドフィルムに照射し,平面型スーパキャパシタを試作した.これをCFRPの層間に挿入することにより,構造化スーパキャパシタを作製した.それぞれの静的荷重下における静電容量の変化を調査したところ,構造化することによって,スーパキャパシタの荷重下における静電容量の変化は抑制可能であることがわかった.

関連するSDGs:

7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
12「つくる責任 つかう責任」

木質バイオマスを有効活用するための新奇触媒反応の開発

SDG7 アイコン SDG12 アイコン SDG13 アイコン

研究代表者:大江 洋平(生命医科学部 教授)

研究概要

有機合成化学は私たちの身の回りにあふれる多様な有機分子を供給するため、現代では欠かすことができない科学技術のひとつである。その主たる炭素源は石油であるが、石油は「限りある資源」であり、またエネルギーとしても利用されている。そのため、今後、「持続可能な生産と消費」を実現するためには新たな炭素源の整備が不可欠であるといえる。そのような代替の炭素源としてバイオマスが注目されている。すでに糖質系バイオマス、油脂系バイオマスからは基幹有機物が得られることがわかっている。さらに、セルロース・ヘミセルロース・リグニンを主成分とする木質バイオマスの利用も期待されている。なかでもリグニンは、芳香族基を豊富に含む点で他の脂肪族系のバイオマスとは異なっており、リグニンからの有用な芳香族化合物合成法の開発が期待される。そのような背景のもと、本研究では、最近我々の研究室で見出した「ルテニウム錯体が引き起こす水中での新奇な芳香族エーテル結合開裂反応」に立脚し、リグニンから温和な条件下で芳香族化合物を取り出すための新しい触媒反応の開発を目指す。

研究成果

私たちの生活において重要な多様な有機分子を供給する有機合成において、現在の主要な炭素源は石油である。石油は「限りある資源」であり、またエネルギーとしても利用されるため、今後、Goal 12である「持続可能な生産と消費」を実現するためには新たな炭素源の整備が不可欠であるといえる。本研究では、そのような代替の炭素源としてリグニンに着目した。木質バイオマスに含まれるリグニンは、芳香族基を豊富に含む点で他の脂肪族系のバイオマスとは異なっており、リグニンからの基幹的な芳香族化合物を得る方法が開発できれば、次の炭素源として有用になる。本研究において、リグニン中に含まれる複雑な芳香族基と同様の構造をもつ芳香族化合物ともη6-芳香族-ルテニウム錯体が形成されることがわかった。残念ながら、現段階では触媒反応への応用に到達できなかったが、様々な反応条件下で基質となるアニソールがη6-芳香族-ルテニウム錯体を形成し、また錯体上ではエーテル結合開裂をしていることが示唆された。これらの結果は、今後の触媒反応への応用に向け重要なヒントとなる。今後、この成果に立脚し、触媒反応の検討を重ね、Goal 7のエネルギー問題に貢献し、Goal 12の持続可能な生産を実現していくような技術に育てていきたい。

関連するSDGs:

7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
12「つくる責任 つかう責任」
13「気候変動に具体的な対策を」

ジェンダー平等と貧困削減に資するフェアトレードのあり方とは?

SDG1 アイコン SDG5 アイコン SDG17 アイコン

研究代表者:岡本 由美子(政策学部 教授)

研究概要

1990年以降、自由貿易の果実は発展途上国の小規模農家には届かず、国際NGOは自由貿易に代わるフェアトレードを開始した。その代表的な国際NGOの一つが、現在のFairtrade International (FI)である。フェアトレードは、社会的連帯を通して世界の不公正貿易を正し、世界の貧困、特に、途上国の農村社会の貧困削減を達成する手段の一つ(SDGs目標17)と考えられるようになり、日本の義務教育でも広まった。しかし、2019年、FIが推進するフェアトレードにメンバーとして登録されている女性の割合は全世界の15%に留まっており、かつ、フェアトレード商品として広く知られているコーヒーの場合は14%しかない。途上国の農村社会では女性の貧困率が男性のそれよりもはるかに高いことを考えると、女性の参加率が低いフェアトレードは、とりわけ、ジェンダー平等(SDGs目標5)と貧困削減(SDGs目標1)という観点から、SDGs目標達成に寄与しているのか疑問が残る。本研究の目的は、フェアトレードのジェンダー分析を行いながら、SDGsの重要な柱であり、本学創立者の教育理念でもある、‘誰一人取り残さない’、フェアトレードのあり方を模索することである。

研究成果

2022年度の研究により、3つの成果が生まれた。一つ目の成果は、持続可能性を担保し、SDGsを達成するするためには、現在の通商体制(GATT-WTO体制)を補完する国際認証制度は不可欠であり、フェアトレードはその一つであることが明らかとなった(『世界経済評論』2023年1・2月に掲載)。しかし、フェアトレードはそれぞれの組合が積極的に独自の施策も講じて初めて組合員のジェンダー平等や女性エンパワメントが効果的に推進されることも明らかとなった(2つ目の成果。国際会議で口頭発表)。さらに、フェアトレードがジェンダー平等や貧困削減といったSDGsの目標達成に貢献するためには、気候変動リスクへの対応も必要不可欠であることが明らかとなった。気候変動はジェンダー中立的ではないため、フェアトレードが女性エンパワメントに成功したとしても、自然災害が多発している昨今、女性農家組合員の方が男性農家組合員よりも負の影響を受けやすく、フェアトレードが必ずしも女性農家組合の貧困削減に寄与しない可能性も否定できないことが明らかとなった。フェアトレードによって男性のみならず女性のwell-beingが向上するためには、フェアトレード本部のみならず、それぞれの組合が女性への気候変動リスクを考慮にいれた施策を打つ必要があることが明らかとなった。

関連するSDGs:

1「貧困をなくそう」
5「ジェンダー平等を実現しよう」
17「パートナーシップで目標を達成しよう」

竹林SDGsを通じたグリーンコモンズの創造

SDG4 アイコン SDG15 アイコン SDG17 アイコン

研究代表者:大和田 順子(政策学部 教授)

研究概要

本研究は、京都に特徴的な地域資源である竹林に着目した。竹は、筍をはじめ伝統工芸、生活用品、建築等への利用、竹林景観、文学など多彩な魅力を有する。 
京都府乙訓地区(向日市・長岡京市・大山崎町の竹林。面積約314ha)は、平安時代から竹材利用の歴史を有しており、現在も高級筍の産地である。向日市には8種類の竹垣が1.8km続く「竹の径」と名付けられた美しい景観がある。向日市の物集女(もずめ)竹林で活動する市民団体「籔の傍」の協力を得て、昨年度は地域づくりの授業にてフィールドワークを行い、竹林の現状と課題を把握した。
本研究では課題として、①放置竹林問題、②地域住民がこの貴重な地域資源の価値をあまり理解していないこと、③大学生など若い層が竹林の生態や、都市や農村の生態系・生物多様性への関心・理解が低いという3つを取り上げる。
プロジェクトでは、学生が中心となった竹林の整備や活用活動を通じ、地域の農家から在来知を、専門家から生態系・生物多様性を学ぶ(目標4:質の高い教育)。また、関係者と共にグリーンコモンズを創出する(目標15:陸の生態系、目標17:パートナーシップ)ことをめざしている。

研究成果

「竹林SDGsを通じたグリーン・コモンズ創出プロジェクト」では、京都に特徴的な地域資源である竹や竹林に着目した。竹は、筍をはじめ伝統工芸、生活用品、建築等への利用、竹林景観、文学など多彩な魅力を有する。また、プラスチックに代わる素材として近年注目が集まっている。研究の対象とした京都府乙訓(おとくに)地区(向日市・長岡京市・大山崎町の竹林)は、平安時代から竹材利用の歴史を有しており、現在も高級筍の産地である。
向日市内の物集女(もずめ)竹林での取り組みを「SDGs未来都市」のフレームワークを援用し、環境・社会・経済という3側面から整理した。環境面では放置竹林の再生・予防や景観保全など、社会面では市民ボランティアによる保全活動など、経済面では伸びた筍を原料にしたメンマづくりなどが挙げられる。統合的な取組として「竹林を活かしたグリーン・コモンズの創出」を位置付けた。
プロジェクトに参加した学生は、竹林の整備や活用活動を通じ、地域の農家から在来知を、市民団体から協働力を、専門家から竹の生態系や生物多様性を学んだ(目標4:質の高い教育)。また、関係者と共にグリーン・コモンズの創出(目標15:陸の生態系、目標17:パートナーシップ)に取り組んだ。これらの内容について冊子『竹林SDGsグリーンコモンズ・ブックレット』を制作し公表した。
『竹林SDGsグリーンコモンズ・ブックレット』[PDF 12.4MB]

関連するSDGs:

4「質の高い教育をみんなに」
15「陸の豊かさも守ろう」
17「パートナーシップで目標を達成しよう」

菜園探求学習と自然が大学生に与える影響について

SDG3 アイコン SDG4 アイコン

研究代表者:STEVENSON III William Robert(社会学部 准教授)

研究概要

認めざるを得ない証拠がある。私たちの生存を脅かす前例のないスケールで自然が破壊されている。私たち自身の破滅的な行動から、私たち自身を救うために「SDGs」の具体的な目標が設定されている。目標の基本となる持続可能な社会はエコロジーに対して責任を持つ社会である。自然を守るにはまず自然を知る必要がある。しかし、多くの調査によると、若者が自然の中で過ごす時間は世代ごとに減少している。日本において「SDGs」を達成するには、若い世代が今より自然になじむことが不可欠である。
自然が児童生徒に与える影響に関する先行研究は多くあるが、大学生を対象とした研究は比較的に少ない。本研究の対象は、1)科目内で自然環境にいる学生(菜園探究学習プログラムの参加者を含む)、2)科目とは関係なく自然環境にいる学生、3)自然環境を避けている学生の3グループである。本研究は自己申告、観察、臨床データ及びアンケート調査という4つの方法を用いながら日本の大学生における自然環境で過ごすことによる教育、健康、ライフスタイル等の影響を明らかにする。

研究成果

小学生を対象とした自然の影響に関する研究は数多くあるものの、大学生を対象とした自然の影響を調べた研究は少ない。本研究は、ガーデン・ベースド・ラーニングというプレースベースド方法を用いながら、自然が日本の大学生にどのような影響を与えるかを調べている。研究は多面的なもので、研究者による観察、参加した学生による自己報告、そしてアンケート調査を用いている。予想どおり、ガーデン・ベースド・ラーニングと自然界に対する意識の向上との間に正の相関関係があることを示した。さらに、厳しい仕事にも関わらず、参加者の全体的なウェルビーイングの改善を感じた。思いがけず、このウェルビーイングにおいて自然環境にいることと同じぐらい重要な役割を果たしたのがガーデンでできたコミュニティであった。これらの発見を実証する試みは失敗に終わったが、自然環境と普段の教室でのストレスレベルを比較する目的で、参加者間の心拍数変動の測定を定期的に行ったが、結果は決定的ではなかった。また、研究のコンテクストを設置するため、自然に対する認識と自然の中で過ごした時間を評価する調査が、参加した学生 (17人) と一般の学生 (約200人)を対象に実施した。

関連するSDGs:

3「すべての人に健康と福祉を」
4「質の高い教育をみんなに」

企業におけるSDGs持続可能性の価値-持続可能性に対する上級管理職/従業員の意識ギャップ

SDG5 アイコン SDG8 アイコン SDG10 アイコン
研究代表者:
須貝 フィリップ(ビジネス研究科 教授)
共同研究者:

井上 福子(ビジネス研究科 教授)

殷 勇(ビジネス研究科 教授)


研究概要

持続可能な開発目標(SDGs)は、企業のサステナビリティへの取り組みを判断する上で最も重要かつ広く採用されているフレームワークの1つに発展しており、これらのテーマについてシニアマネジメントと従業員の認識の間にギャップが存在するかどうかを理解することは極めて重要である。本研究プロジェクトの目的は、国連の持続可能な開発目標5、8、10に関連する具体的な成果に対して、(1)シニアリーダー、(2)従業員がどのような価値を認めるかを測定し、企業内および企業間(日本企業50社)の比較をすることである。過去の研究では、703のインパクト指標が統合され、従業員価値に関する6つのテーマ(①多様性と公平性、②公正な賃金、③健康、福祉、安全、④従業員開発、⑤従業員エンゲージメント、⑥人権)が策定された(Sugai et al., 2021)。この6つのテーマで高いパフォーマンスを達成することで、企業はvan Marrewijk & Werre(2003)による企業の持続可能性(CS)実践の5段階モデルの最高段階へ移行することができる。 しかし、どの項目が企業のリーダーから見て最も重要で、どの項目が従業員から見て最も重要であるかは、まだ明確ではない。 これらのテーマとその重要性について、経営幹部と従業員は一致しているのか、それとも両者の間に大きな違いがあるのか、そして、これらの課題に対する経営幹部と従業員の一致の度合いと、会社全体の業績との間に違いを見出すことができるのか、この研究は、これらの疑問に対する答えを提供することを目的としている。

研究成果

持続可能な開発目標(SDGs)を通じたステークホルダー価値の測定の実際について、国際的に認知されている多くの持続可能性の報告に関する国際的枠組みを統合して研究を行った。 これまでの研究成果は、ニューヨークでハイブリッド開催された国連総会サイエンスサミット(UNGASS77)やシカゴでハイブリッド開催された米国マーケティング協会(AMA)Summer Academic Conference 2022など、国内外の学術・ビジネス会議で発表した。

関連するSDGs:

5「ジェンダー平等を実現しよう」
8「働きがいも経済成長も」
10「人や国の不平等をなくそう」

Z世代の価値観タイプの違いとSDGsに対する意識:SDGsの浸透に向けた検討のために

SDG13 アイコン SDG14 アイコン SDG15 アイコン

研究代表者:髙橋 広行(商学部 教授)

研究概要

本研究の目的は、Z世代(1995年以降に生まれた、デジタルネイティブの世代)におけるSDGsの意識の違いを明らかにするものである。具体的には、Z世代を価値観の異なるいくつかのクラスター(タイプ)に分類し、SDGsに対する意識が高いタイプを明らかにした上で、SDGsの考え方をどのように浸透させていくことが可能なのかについてのマーケティング的なアプローチ方法を検討することである。
特に、企業の本業である事業活動の中で、持続可能性を高める(サステナブルな)取り組みをどのように伝えていくことが、消費者の企業に対する態度に正の影響を与えるのかについて探索していく。まず、企業へのインタビューを中心に実施し、持続可能な取り組みの要素を抽出する。その後、Z世代を含めた全世代を対象に量的調査を行うことで、どのような価値観を持つ世代や層が、サステナブルな取り組みやSDGsに反応するのかを明らかにしていく予定である。

研究成果

本研究はZ世代と地域社会との関係に注目した研究である。ひとくくりにZ世代と言っても、価値観や意識の違いによって当然、地域や社会との関わり方や関心度も異なる。そこで、プレ調査を踏まえて質問項目を設計し、量的調査を実施した。Z世代だけでなく比較対象として他の世代にも調査を実施し、最終有効回収数は2,794サンプルで分析を進めた。世代間の比較、Z世代の中でも若い層とシニア層に分けて意識の比較などを行なったのち、Z世代の特徴をふまえた価値観や意識項目を対象に、因子分析とクラスター分析を行うことで5つのタイプに分類し、タイプごとに地域や働き方、社会的な活動などに対する考え方の違いについて明らかにしてきた。
明らかになった点は、Z世代は他の世代よりも「お互いに協力して、ひとつの目標を達成する社会であること」「すべての人に質の高い教育の機会があること」「男女が平等である世界を実現すること」などSDGsに対する関心、SNSを通じた自己表現意欲やモノに対する愛着が他の世代よりも意識が高いこと、働き方についても「福利厚生(手当や休日日数、医療保障、貸付制度など)が充実している企業で働きたいことなどがわかってきた。Z世代のタイプ別分析では上記の点に対する反応に違いがみられたことから、地域企業や地方自治体はZ世代を一括りにせず、そのタイプに応じて対応を変えていく必要があることが示唆される。

関連するSDGs:

13「気候変動に具体的な対策を」
14「海の豊かさを守ろう」
15「陸の豊かさも守ろう」

SARS-CoV-2のSタンパク受容体結合部位を標的とした新規COVID-19治療薬の開発

SDG3 アイコン

研究代表者:髙橋 美帆(生命医科学部 助教)

研究概要

ウィズコロナ時代にSDGsゴールの一つである「すべての人に健康と福祉を」を達成するためには、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬の創製は最も重要な課題である。COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2の表面にはスパイク糖タンパク質(Sタンパク質)が存在しており、Sタンパク質が肺胞上皮細胞等の標的細胞膜上の受容体ACE2に結合すると、ウイルスは細胞内に侵入する。Sタンパク質は3量体構造をとっており、3分子のSタンパク質が最大3分子のACE2を認識しうる。この多価対多価の相互作用により両者の結合親和性が著しく亢進することが考えられ、この現象はクラスター効果と呼ばれる。我々は、それ自体がクラスター効果を発揮するようデザインされた多価型ランダムペプチドライブラリーを開発しており、クラスター効果に基づいて機能する種々の病原因子の特定部位を標的とした高親和性ペプチドの同定に成功している。本研究では、本ライブラリーを用いて、Sタンパク質の受容体結合部位を標的とし、クラスター効果に基づいて機能する新規のSARS-CoV-2阻害ペプチドを同定することを目的とする。

研究成果

SDGs Goal 3「すべての人に健康と福祉を」達成のために、COVID-19治療薬の創製は重要な課題の一つである。本研究では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を標的としたペプチド性SARS-CoV-2阻害剤の開発を行った。SARS-CoV-2が肺胞上皮細胞等の標的細胞に侵入する際には、ウイルス粒子上に存在する3量体スパイクタンパク(Sタンパク)が、細胞表面に発現する受容体アンジオテンシン変換酵素2(angiotensin-converting enzyme 2:ACE2)と相互作用することが重要である。Sタンパクには受容体結合部位(receptor binding domain: RBD)が存在し、RBDを介してACE2と特異的に結合する。そこで本研究では、RBDを標的としSタンパクとACE2の相互作用を阻害するペプチド分子の取得を試みた。まずRBD領域内のACE2との結合に重要なアミノ酸を探索し、486番目のフェニルアラニン(F486)を同定した。この知見をもとに多価型ペプチドライブラリー法および、多価型ペプチドシートスクリーニング法を実施し、最終的にRBDのF486を標的として、かつ強く結合するペプチドモチーフ10種を同定した。このうち数種については多価型ペプチドを合成し、その効果をELISA法により検討したところ3種の多価型ペプチドは、RBDとACE2との相互作用を効率よく阻害することが明らかとなった。現在これらペプチドの特性について詳細な解析をすすめている。

関連するSDGs:

3「すべての人に健康と福祉を」

京都の「地蔵祠」から学ぶ持続可能な地域コミュニティのあり方に関する研究

SDG8 アイコン
研究代表者:
竹内 幸絵(社会学部 教授)
共同研究者:

佐藤 守弘(文学部 教授)

多田 実(政策学部 教授)

佐野 明子(文化情報学部 准教授)


研究概要

本研究は、1,200年の時を超え文化都市として持続してきた京都の「暗黙知(実践知)」に学び、持続化可能な都市に必要なコミュニティと芸術・文化のあり方への創造的提言をめざす。特に、京都各地に点在する5,000を超えると言われる「地蔵祠」に着目する。江戸期には町のはずれにあった「地蔵祠」は、明治以降整備された京都の「町」(ちょう:交差する2つの通りで挟まれた1区画)の中央に移設される。以降今日まで「地蔵祠」は「町」コミュニティの精神的、物理的なシンボルとして存在してきた。祭事や防災の拠点であり、信仰の対象であり、守られ、慕われ、飾られる存在として持続してきた。
本研究では、現在の「地蔵祠」の史的調査、現物調査・表象的調査とそれをとりまく周辺コミュニティの現地聞き取り調査を実施する。過去と現状の両軸から「地蔵祠」に史的・美的・メディア論・政策学的にアプローチし、豊かな市民生活に欠かせない「暗黙知」の役割を探求する。これが自治体離れ、地域離れと言われる都市と地域コミュニティの抱える諸問題解決への新たな手がかりとなると考えるからである。そしてそれらに基づき、持続化可能な都市実現に向けた具体的かつ創造的な提言を打ち出すことをめざす。

研究成果

刊行した報告冊子には、京都の「地蔵祠」の基本情報と、今回のプロジェクトで開催した 「『地蔵盆』とコロナ禍を考える」シンポジウムでの討議の内容、そしてプロジェクトメンバーの「地蔵」をテーマとした論考・エッセイを掲載している。基本情報においては「地蔵祠」とは何か、京都でどれくらいあるのか、どのように親しまれてきたのかなどを、一般的な読者にもわかりやすく、写真や資料を基に概説している。そしてシンポジウムの頁では、コロナ禍の影響を受け危機的状況に瀕している「地蔵盆」の現状をひもとき、今後の持続の方法や持続することの意味についての、登壇者らの提言を記録している。
このシンポジウムには複数の反響があったが、特に継続を断念しかかっていたひとつの「町」(北来町町内会)の方からあった、シンポジウムの聴講をきっかけに自分たちの「地蔵盆」のあり方を前向きに考えるきっかけとなったという連絡は、示唆に富むものであった。また冊子媒体を手にした方からも複数の感想や情報が寄せられた。この問題の深刻な状況を改めて考える必要性に思い至った、あるいは提灯を下げたなんとも言えない風光明媚な京都の光景の持続を考えねば、といった声である。これらは、直接的な持続可能性に繋がるものではないが、1年間の活動が「住み続けられるまちづくり」にかかるなんらかの礎となったことを感じさせるものであった。
報告書「地蔵祠・地蔵盆は今」[PDF 4.4MB]

関連するSDGs:

11「住み続けられるまちづくりを」

森林保全に資する次世代育成プログラム開発に関する研究

SDG4 アイコン SDG13 アイコン SDG15 アイコン

研究代表者:瓜生原 葉子(商学部 教授)

研究概要

本研究の一連のゴールは、次世代(小学生~大学生)が森林保全行動を自発的にとれるような教育プログラムとその評価指標を開発し、それを実装することで、SDGs(目標4、目標13、目標15、陸上資源)達成に直接貢献することである。
本年度の研究では、特に小・中学生が「林業や森林保全行動に関心を持ち、それについて友人や家族に話す、自分ができる行動を始める」という行動目標への変容を促進するための、すごろく形式のゲームを含めた教育プログラムを開発し、奈良などで実装し、その効果指標を開発・検証する予定である。
本研究の特徴は、①ソーシャルマーケティングの手法を基盤とし、学際的な行動科学理論と体系的枠組みに沿って進めること、②社会実装研究であるため、実際に森林保全行動を増やし、CO2削減等の環境問題解決に貢献できること、③実装の告知・活動への参加をとおして、森林への関係人口を増やせることである。

研究成果

本研究は、SDGsの目標4(教育)、13(気候変動)、15(陸上資源)に関連している。一連の研究のゴールは、次世代が森林保全行動を自発的にとれるような教育プログラムとその評価指標を開発し、それを実装することで、SDGs達成に直接貢献することである。2022年度の研究では、小学生が森林保全行動に関心を持ち、自ら調べるようになる「すごろく形式のゲームを含めた教育プログラム」を開発し、実装・検証を試みた。さらに、その結果をまとめた動画を作成し、小学教諭400名と小学生の子をもつ親1,000名を対象とした定量調査を行い、教育プログラムの受容度と今後の展開について分析した。
その結果、以下を特徴とする教育プログラムを開発・実証した。
①ゲーミフィケーションによる学習効果
②学術的なプロセスに則って開発
③授業などへの取り入れやすさ
④地域コミュニティに取り入れることが可能
⑤ファシリテーターにも森林教育が可能
本プログラムについて、小学教諭の79.4%が「教育にとりいれてみたい」、親の83.6%が「学校で受けてほしい」と回答した。そのため、ファシリテーター向けマニュアル・動画を作成した。今後、本プログラムが活用されるよう実施の支援とその検証を続けたい。

関連するSDGs:

4「質の高い教育をみんなに」
13「気候変動に具体的な対策を」
15「陸の豊かさも守ろう」

倫理的消費・ジェンダー・ベーシックインカム

SDG1 アイコン SDG5 アイコン SDG12 アイコン SDG17 アイコン

研究代表者:山森 亮(経済学部 教授)

研究概要

SDGs目標12「つくる責任つかう責任」に関連して、「倫理的消費」の実践のなかで生まれた優れた表現の一つに「買い物は投票である」というものがある。しかし残念ながら、「投票」という一人一人が平等に持っている権利と同じようには、買い物の権利は平等に分配されていない。また琵琶湖の水質汚染に端を発した「せっけん運動」から、最近のいわゆる「香害」をめぐる問題に至るまで、倫理的消費には、「投票」という比喩から連想される個人の行動のみならず、集団的実践を必要とするものもある。
研究代表者がこれまで取り組んできた1970年代のイギリスの労働者階級の女性解放運動についてのオーラルヒストリー調査で、彼女たちがベーシックインカムを要求したこと、その理由の一つが非倫理的な生産活動への強制から自由となることであったことが明らかとなっている。同様の関連が倫理的消費にもあるのではないかという仮説が本研究の出発点である。
本研究の目的は、第一に、倫理的消費(SDGs目標12)を促進するためには、いくつかの経済的・社会的条件が必要であることを明らかにすることである。第二に、それらを達成するための経済・社会政策(SDGs目標1,5)を探求する。第三に、それらの実現に向けた対話の方法(SDGs目標17)について、(社会運動から文学やアートなども含む)先人たちの実践の歴史から学ぶと同時に、非暴力コミュニケーションなどの比較的新しい実践の可能性の探求を行うことである。

研究成果

研究代表者がこれまで取り組んできた1970年代のイギリスの労働者階級の女性解放運動についてのオーラルヒストリー調査で、彼女たちがベーシックインカムを要求したこと、その理由の一つが非倫理的な生産活動への強制から自由となることであったことが明らかとなっていた。この研究を出発点に、本研究では、第一に、上記の運動(この運動は福祉権運動と女性解放運動の交差するところに立ち上がっており、SDGs 1「貧困をなくそう」、5「ジェンダー平等を実現しよう」と関連していた)において、どのような倫理的な生産が構想されていたのか、またそれは倫理的消費とどのように関連していたのかについて跡付けた(SDGs 2「つくる責任つかう責任」)。第二に、彼女たちのそのようなユニークな視点が、ジェンダーや階級の問題とどのように関係していたのかを明らかにしようとした。それらについて、ドイツ・チュービンゲン、およびアメリカ合衆国・ワシントンDCで開かれた国際会議で報告を行った。また国際学術誌に投稿し、アクセプトされた。第三に、現在、倫理的生産や倫理的消費にとりくむ人びとに聞き取り調査を行い、実現のためにどのような社会的経済的条件と協同が必要となるのかを探った(12「つくる責任つかう責任」、17「パートナーシップで目標を達成しよう」)。

関連するSDGs:

1「貧困をなくそう」
5「ジェンダー平等を実現しよう」
12「つくる責任 つかう責任」
17「パートナーシップで目標を達成しよう」

AY2022

*Listed in alphabetical order of the principal researchers' names.

Transparency in Supply Chains by Sustainable Investments - In the View of Human Rights Due Diligence -

SDG8 icon

Principal Researcher:ADACHI Mitsuo(Professor, Faculty of Policy Studies)

Research Outline

Investments and investment chains which evaluate corporate actions adequately are essential to realize sustainable society. In particular, UN survey suggests that an annual investment of approximately $ 5 to $ 7 trillion are required until 2030 to achieve SDGs. We need to make full use of impact investments and ESG investments. The goal of this study is to design new sustainable investment systems and promote human dignity and prevent human rights abuses around the world. It is obvious that modern human rights abuses are often caused by poor working conditions. For example, forced labor and slave labor have become serious problems in Africa and other countries and it is estimated that one in ten children is engaged in labor in the world. We have to take Goal 8 seriously and have to take immediate and effective actions for target 8.7 in order to eradicate forced labor and modern slavery. In particular, TISC (Transparency in Supply Chains) is required for modern companies including their business partners. In Japan, regulations which investigate business partners in the supply chain are in preparation. Based on such situations, this study aims to complete new TISC investment systems which improve poor working conditions and induce social inclusion and sustainable economic growth.

Research Results

This research focuses on transparency in supply chains by sustainable investments, and it is based on the view of human rights due diligence. In this year, with the support of SDGs studies of Doshisha University, this research promoted various investigations toward the realization of Goal 8 of the SDGs. Especially in this year, as various efforts toward human rights due diligence were accelerated in Japan, this research was motivated by changes in the circumstances surrounding Japanese companies. As it is generally believed that each company will make its own efforts for the formulation and implementation of human rights due diligence, at the beginning, this research tried to measure the impact of the formulation and implementation of human rights due diligence on corporate value by examining examples of various Japanese companies. However, during the investigation, this research led to the realization that human rights due diligence efforts needed to be in collaboration with companies facing similar challenges. Regarding efforts for the formulation and implementation of human rights due diligence, therefore, this research focused on not only efforts of individual companies but also industry-wide efforts. This research examined a suitable case concerning industry-wide efforts for human rights due diligence and suggested that the formulation and implementation of industry-wide human rights due diligences could increase the value of the industry. Based on these verification results, this research also considered the design of new sustainable investments to achieve sustainable society. As a result of summarizing these research results from the above process, a single-authored research paper is scheduled to be published in August 2023.

Related SDGs:

8“Decent Work and Economic Growth”

Research for Building a Relationship between Ethnic Schools and Local Community in Kyoto

SDG4 icon SDG10 icon SDG16 アイコン

Principal Researcher:ITAGAKI Ryuta(Professor, Faculty of Social Studies)

Research Outline

This research project aims to contribute to the sustainable development of Korean Ethnic Schools, which have been faced with prejudice and discrimination in Japan, by building positive relations among the Korean Schools, its neighborhood and tourists. Collaborating with an ongoing community development project “Sakamichi Purojekuto” that seeks mutual interest of a Korean School and its neighborhood in Kyoto, I will edit a book about the School and local community together with people who are involved in the Sakamichi project.
This project relates to the following goals and targets of the SDGs.
10: Ensure equal opportunity by eliminating discrimination (10.3).
16: Promote non-discriminatory policies (16.b) and ensure equal access to justice for all (16.3).
4: Provide safe and inclusive learning environments (4.a).
Since this project aims to construct the win-win relationship among the Korean School community which preserves safe and non-discriminatory learning environments, local residents who acquires a new resource for their community development plan that seeks coexistence of tradition and diversity, and tourists who enjoy “another unique Kyoto”, it can be a model project for constructing inclusive society in Japan.

Research Results

This study aims to contribute to the sustainable development of Korean Schools, which are exposed to prejudice and discrimination in Japanese society, by establishing positive relationships with neighborhoods and tourists. In terms of the goals and targets of the SDGs, this study corresponds to 10 and 16, which are related to the reduction of inequality and discrimination, and 4, which is related to the safety and security of the children who attend the schools and their non-exclusion.
During FY2022, we conducted a systematic interview survey of people involved in Korean schools in Kyoto, in conjunction with a social research seminar at Doshisha University. This year, we have conducted research specifically on (1) the life history of a Kyoto Junior and High School student in the early years, (2) changes in school life (uniforms, hairstyles, inter-student relations, relations with Japanese neighbors, etc.) mainly in the 1970s and 1980s, and (3) the lives and thoughts of the students today, which we have compiled into a report. In addition to the report, we also sorted out the historical materials of the Kyoto Korean School, and worked on a video that summarizes in an accessible manner the contents of the museum being prepared at the Kyoto Korean School. Furthermore, cooperating with efforts to resolve racism and hate crimes, which have become obstacles to the sustainable development of the neighborhood community and the Korean school, through court proceedings, we submitted written opinions to the courts and other authorities.

Related SDGs:

4“Quality Education”
10“Reduced Inequalities”
16“Peace, Justice and Strong Institutions”

What is accessibility for “no one is left behind” in Universities?

SDG4 icon SDG10 icon
Principal Researcher:
KAJIYAMA Tamaka (Professor, Faculty of Law)
Co-researchers:

SAKATA Mamiko (Professor, Faculty of Culture and Information Science)

NAKASE Koichi (Professor, Center for License and Qualification)

KAWANISHI Masahiro (Assistant Professor, Faculty of Health and Sports Science)


Research Outline

In this project, we consider what “accessibility” is for “no one is left behind” in the university.
Difficulties in “accessibility” can occur not only for people with disabilities but for everyone because of their abilities, language, and geographic location. They may also occur due to changes in the environment and conditions. For example, recently, strict entry restrictions and the risk of severe Covid-19 have become new “barriers” to face-to-face class.
The university should provide “place” for intellectual exchange. Unfortunately, however, the university did not have no common “place” where students and faculty members can freely interact, regardless of their means of communication (language, verbal or written, face-to-face or online). Therefore, we will create a “place (space)” that everyone can access equally by utilizing Information and Communication Technologies such as virtual space, avatar robot, speech recognition and automatic translation.

Research Results

In our project (DAREAKU PJ IROIRO= Project to consider what "accessibility" is for "no one is left behind"; https://dareaku.jimdosite.com/), we considered all people, not just those with disabilities, as targets for "accessibility" support. We worked to create a "place (space)" that is equally accessible to all, by using virtual spaces, avatar robots and other "avatars".
To guarantee accessibility so that "no one is left behind," we first gave students the option of attending each class either in person or online and made it possible for them to attend in a way that best suited their individual circumstances. The use of avatars in class and the use of common names allowed students to participate in class more easily.
In the classes using the virtual space, all participants in the class (including those attending face-to-face) entered the virtual space and had discussions in the same "place (space)". In this process, chat and (automatically created) subtitles were used for those who had difficulty communicating by voice. Chat and subtitles were useful not only for the hearing impaired, but also for online participants who were unable to use audio, and for participants whose native language was not Japanese.

Related SDGs:

4“Quality Education”
10“Reduced Inequalities”

The Next “Shinzan-Daitaku” Project: Extensions of Conscience and its New Practice

SDG4 icon SDG7 icon SDG13 icon
Principal Researcher:
KOHARA Katsuhiro (Professor, School of Theology)
Co-researchers:

GOTO Takuya (Professor, Faculty of Science and Engineering)

INAOKA Kyoji (Professor, Faculty of Science and Engineering)

HAYASHIDA Akira (Professor, Faculty of Science and Engineering)

ISHIKAWA Masamichi (Visiting Professor, Institute for Advanced Research and Education)

HIROYASU Tomoyuki (Professor, Faculty of Life and Medical Sciences)

NOGUCHI Noriko (Professor, Faculty of Life and Medical Sciences)

SAKURAI Yoshio (Professor, Graduate School of Brain Science)

MOTOYAMA Jun (Professor, Graduate School of Brain Science)

MUTO Takashi (Professor, Faculty of Psychology)

KANATSU Kazumi (Professor, Faculty of Letters)

YAGI Tadashi (Professor, Faculty of Economics)

WADA Yoshihiko (Professor, Faculty of Economics)

IIZUKA Mari (Professor, Graduate School of Business)

Research Collaborators:

HATTORI Atsuko (Professor, Faculty of Policy Studies)

MASU Taichi (Assistant Professor, Harris Science Research Institute)


Research Outline

Joseph H. Neesima, the founder of Doshisha, has mentioned “Shinzan-Daitaku” (“big pond in the deep forest” from a Chinese classic) as an ideal of university. Our project is to develope that idea into the Next “Shinzan-Daitaku” (environment full of diversity that let each individual live and grow) which can be the common ground for the synergy of science and humanities to pursue the goals of SDGs. In the project it is “conscience” (etymologically, knowing together) that will bring the various goals and academic fields together. We will extend the idea of conscience and turn it into a practical power to reach the goals of SDGs.
We will focus on the following three goals of SDGs. Regarding the 4th goal about education, we will play a role of a hub to connect university, companies, and local communities together to educate people in charge of the carbon neutral management. For the 7th goal about energy, we will give a picture of energy revolution centering on the realistic carbon recycling technology as well as revitalization of local communities by means of the local production and consumption of the renewal energy. In terms of the 13th goal about the climate change, we will consider an intergenerational ethics to enable us to take the responsibility of living on one planet from generation to generation so that we can realize the climate change is our own problem.

Research Results

This project aims to form the foundation for a unique and unprecedented approach to the SDGs, and focuses on “Shinzan-Daitaku” ("big pond in the deep forest" from a Chinese classic) as the most important keyword of Joseph H. Neesima, the founder of Doshisha, in his later years. It is the “Next 'Shinzan-Daitaku'” that we developed its original idea for the future society. For Neesima, “Shinzan-Daitaku” represented the ideal image of a university. In this project, we reconstructed it in a modern context as the next “Shinzan-Daitaku” (an environment filled with diversity where various personalities are nurtured and developed) and used it as a common platform for the fusion of the humanities and sciences to solve SDGs issues.
We also worked to expand the concept of “conscience” (the original meaning of “conscience” is to know together) in order to activate cross-disciplinary research. In doing so, we focused on the following three points: (1) conscience to “know together” with future generations, (2) conscience to “know together” with the earth, and (3) conscience to “know together” with artifacts (AI and robots).
The research results of this project were published as a booklet, SDGs Next “Shinzan-Daitaku” Project: From Honeybees to the Universe (Amazon Kindle version: https://amzn.to/3JpDKv3). The results and issues raised in each area are summarized under the pillars of “Nurture People,” “Change Society,” “Know the Earth,” and “Look to the Universe,” showing the spatial and temporal expansion of the Next “Shinzan-Daitaku” Project.

Related SDGs:

4“Quality Education”
7“Affordable and Clean Energy”
13“Climate Action”

Development of novel separation system of perfluoroalkyl compounds with low environmental impact

SDG6 icon

Principal Researcher:MATSUMOTO Michiaki (Professor, Faculty of Science and Engineering)

Research Outline

Since perfluoroalkyl compounds (PFAS) are persistent, they are highly residual in the body and lead to future health problems. This research, which develops a method for removing PFAS from water-related ecosystems, contributes to 6.1 “Everyone can use safe water” and 6.6 “Protecting and restoring water-related ecosystems” in Goal 6 “Clean Water and Sanitation”.

Research Results

Some 4,700 persistent perfluoroalkyl compounds (PFAS), known as "forever chemicals," are currently known. Two in particular, perfluorooctanoic acid (PFOA) and perfluorooctanesulfonic acid, are used in many fields because of their functionality, released into the ecosystem, and found in most tap water in the United States. Their accumulation in the body and potential health hazards have been pointed out, and because PFAS are persistent, they are believed to be highly bioaccumulation and lead to future health problems. This research to develop efficient removal methods for PFAS from ecosystems and drinking water will contribute to SDG 6 "Safe water and toilets worldwide", especially 6.1 "Everyone has access to safe and affordable water" and 6.6 "Protect and restore water-related ecosystems". In this study, we conducted research for the separation of PFOA in water using polyvinyl chloride (PVC) membranes containing ionic liquids, which are green solvents with excellent safety characteristics such as non-volatility, flame retardance, and heat resistance, as carriers and plasticizers. The membrane transport of PFOA was successfully achieved for the first time by using a new ionic liquid suitable for separation.

Related SDGs:

6“Clean Water and Sanitation”

Children and youth-led climate citizens assembly at Kyoto city: Practical insights

SDG4 icon SDG11 icon SDG13 icon

Principal Researcher:NISHIYAMA Kei (Assistant Professor, Faculty of Policy Studies)

Research Outline

Climate Assembly is a deliberative forum where lay citizens, experts and decision-makers jointly discuss possible and optimal climate policy of their society and provide policy-recommendation. Some practices have made a significant contribution to developing climate policy of the society, although many Climate Assemblies, thus far, fail to be fully inclusive precisely because children and young people are often excluded from the deliberative forum on the ground of age limitation.
Against this backdrop, the proposed project aims to design and implement a child- and youth-led mini-Climate Assembly where they deliberate about the topic of “Climate policy of the Kyoto city in 2030”. By “child- and youth-led”, it refers to an innovative and creative process where children and young people take primary ownership of defining, designing and implementing their own Climate Assembly. The mini-Climate Assembly will be in particular designed and implemented in collaboration with the local youth climate activist group “Fridays For Future Kyoto, dubbed as FFF Kyoto”. We plan to organize the deliberative forum where around 30 children and young people living in the Kyoto city deliberate with experts of climate change and climate policy and then create a collaborative recommendation for Kyoto city's climate policy. The proposed recommendation will be shared in the Kyoto City Global Warming Prevention Committee (where members of FFF Kyoto worked as a committee member).
The proposed project fits perfectly into the following SDG's goals, and it should be made clear that the most important feature of the project is that these goals are addressed in a child-and-youth-led fashion.
1. No. 13 Climate Action (particularly its Target 13.2 and 13.3)
2. No. 11 Sustainable Cities and Communities (particularly its Target 11a and 11b)
3. No. 4 Quality of Education (particularly its Target 4.7)

Research Results

The climate strike movement known as Fridays For Future, originally and symbolically started by Greta Thunberg in Sweden requires all present generations to reconsider their moral responsibility for the future generations. They in particular require us to take into account more seriously the voices of children and young people conceptualized as in-between two generations (present and future), otherwise our society and world will face harsher climate crisis in the coming future. Against the backdrop, in this research I worked with Fridays For Future Kyoto, one of the local groups of FFF, to collaboratively organize a small-scale citizens' forum called 'climate dialogue for me and you' in Kyoto city in January 2023. Unlike the existing and conventional citizens' forum where adult citizens, researchers and political elites organize its process and structure, this meeting was designed and implemented in a youth-led way, so that young people have more sufficient opportunities to be heard and considered by the broader publics. Creating such youth-led and youth-friendly forum allowed them to be empowered, thereby motivating them to engage in a grassroots political activity for city design and climate justice.

Related SDGs:

4“Quality Education”
11“Sustainable Cities and Communities”
13“Climate Action”

Fabrication and evaluation of structured super-capacitor by using laser induced graphene

SDG7 icon SDG9 icon SDG12 icon

Principal Researcher:OBUNAI Kiyotaka (Associate Professor, Faculty of Science and Engineering)
Co-researcher:OKUBO Kazuya (Professor, Faculty of Science and Engineering)

Research Outline

The purpose of this study is to fabricate and evaluate the structured super-capacitor for energy storage of Battery Electric Vehicles (BEVs). In recent years, for achievement of Sustainable Development Goals (SDGs), BEVs has been attracting attention to suppress the CO2 emission during operation. However, the conventional BEVs have several drawbacks. At first, to protect the heavy batteries from the mechanical load, the chassis of BEVs should be stiffer. Hence, the weight of BEVs is relatively heavier than that of internal combustion vehicles, even if the chassis of BEV were made from lightweight materials such as Carbon Fiber Reinforced Plastics (CFRPs). Second, the charging and discharging of conventional battery such as Li-ion battery should be precisely managed not only to prevent the degradation of battery, but also to prevent the accident. Therefore, the charging time of BEVs are long. To solve these problems, applicants propose the structured super-capacitor which fabricated by inserting thin-film super-capacitor into inter-laminar of CFRPs. The thin-film super-capacitor was fabricated by irradiating the UV laser to polymer film for inducing the graphene on its surface. By insetting this thin-film super-capacitor into inter-laminar of CFRPs, the mechanical load to super-capacitor will might be effectively suppressed by load sharing of CFRPs. Moreover, by comparing the conventional battery, super-capacitor allows rapid charging and discharging during operation. Therefore, by adopting structured super-capacitor for BEVs, the major drawbacks of BEVs may will be effectively solved. In this study, the feasibility of structured super-capacitor will investigate from the viewpoints not only of the electrical characteristics, but also of the mechanical characteristics.

Research Results

The purpose of this study is to fabricate and evaluate the structured super-capacitor for energy storage of Battery Electric Vehicles (BEVs). In recent years, for achievement of Sustainable Development Goals (SDGs), BEVs has been attracting attention to suppress the CO2 emission during operation. However, the conventional BEVs have several drawbacks. At first, to protect the heavy batteries from the mechanical load, the chassis of BEVs should be stiffer. Hence, the weight of BEVs is relatively heavier than that of internal combustion vehicles, even if the chassis of BEV were made from lightweight materials such as Carbon Fiber Reinforced Plastics (CFRPs). Second, the charging and discharging of conventional battery such as Li-ion battery should be precisely managed not only to prevent the degradation of battery, but also to prevent the accident. Therefore, the charging time of BEVs are long. To solve these problems, applicants proposed the structured super-capacitor which fabricated by inserting thin-film super-capacitor into inter-laminar of CFRPs. The applicants were firstly investigated the optimal fabrication procedure of plane type super-capacitor made from Polyimide film by irradiating UV laser. Then the prototype of structured super-capacitor was fabricated by inserting the plane type super-capacitor into interlayer of CFRPs. The capacitance of both of plane type super-capacitor and structured super-capacitor under static tensile load were investigated. Test results revealed that the capacitance change due to mechanical loading was effectively suppressed by combining the plane type super-capacitor and CFPRs, while the capacitance of plane type super-capacitor was significantly decreased under same load. These results suggested that the structured super-capacitor might be as a candidate of new generation BEV's power storage component.

Related SDGs:

7“Affordable and Clean Energy”
9“Industry, Innovation and Infrastructure”
12“Responsible Consumption and Production”

Development of Novel Catalytic Reactions for Effective Utilization of Woody Biomass

SDG7 icon SDG12 icon SDG13 icon

Principal Researcher:OE Yohei (Professor, Faculty of Life and Medical Sciences)

Research Outline

Organic synthetic chemistry is an indispensable scientific technology since it provides a wide variety of valuable organic molecules. Petroleum is a main carbon source in organic synthesis. Unfortunately, this finite resource is also used as energy. Therefore, to achieve sustainable production and consumption and continue to satisfy the standards of modern organic chemistry, new carbon sources must be developed. Biomass has recently received much attention as an alternative carbon source. Critical and fundamental organic substances can be synthesized from sugar biomass and oil and fat biomass. Using woody biomass, which is mainly composed by cellulose, hemicellulose, and lignin, is also desired. The effective development of lignin is particularly desired, since it contains abundant aromatic groups. In this work, we develop a new catalytic reaction that degrades lignin under mild reaction conditions to extract aromatic compounds on the basis of our recently discovered ruthenium-induced cleavage of aromatic ether bonds in water under weak basic conditions.

Research Results

The current main carbon source is petroleum in organic synthesis which supply diverse organic molecules in our lives. Petroleum is a finite resource and also serves as an energy source. Therefore, the development of new carbon sources is essential to achieve Goal 12, which is "sustainable consumption and production" in the future. We focused on lignin as a potential alternative carbon source in this study. Lignin, found in woody biomass, stands out from other aliphatic biomasses due to its abundance of aromatic groups. Developing a novel synthetic method to obtain fundamental aromatic compounds from lignin could make it a valuable source for the future. During our investigations, we discovered that aromatic compounds containing complex aromatic group structures similar to those found in lignin form η6-aromatic-ruthenium complexes. This result supports that with our method, lignin and η6-aromatic-ruthenium complexes can be formed. While we were not yet able to apply our findings to catalytic reactions, our results do indicate that anisole, a commonly used substrate, can form η6-aromatic-ruthenium complexes under a variety of reaction conditions. Additionally, the methyl group of the η6-aromatic ligand was often found to be cleaved. These results provide valuable insights for the development of catalytic reactions that effectively decompose lignin. Based on the insights obtained in this research, our laboratory will conduct studies continuously that contribute to achieving SDG Goals 7 and 12.

Related SDGs:

7“Affordable and Clean Energy”
12“Responsible Consumption and Production”
13“Climate Action”

How to Promote Fairtrade that Meets SDGs such as Gender Equality and Poverty Reduction?

SDG1 icon SDG5 icon SDG17 icon

Principal Researcher:OKAMOTO Yumiko (Professor, Faculty of Policy Studies)

Research Outline

Trade liberalization has accelerated since the 1990s, but the fruits of free trade in developing countries have not necessarily reached the majority of small-scale producers of primary commodities such as coffee. In response, international NGOs, such as Fairtrade International, has emerged and initiated fair trade as an alternative to free trade. Fair trade has been regarded an important form of partnership for global development (SDG Goal 17) in solving the issue of poverty by promoting social solidarity. Nowadays, primary and the secondary schools in Japan teach the importance of fair trade. However, the percentage of female fairtrade farmers has remained very low: only 15 percent globally. The situation is even worse in primary commodities, such as coffee, which is the most well-known fair trade commodity in the world: only 14 percent. Given the higher rate of poverty among female than male small-scale farmers, whether or not promoting fair trade alone leads to the achievement of SDGs, such as No Poverty (SDG Goal 1) or Gender Equality (SDG Goal 5) is doubtful, unless fair trade is accompanied by an equal rate of participation by female farmers. Therefore, this research aims to determine the means for promoting fair trade in an inclusive manner, such that “no one is left behind,” which is one of the most important educational goals of the founder of Doshisha University, Joseph Hardy Neesima.

Research Results

Three major outcomes arose from this research. First, sustainable standards and certificates, it was found, could complement the GATT-WTO system and contribute toward achieving Sustainable Development Goals (SDGs). Fairtrade is one of them. Okamoto (2022) published in a Japanese journal based on the first finding. Second, fairtrade, it was found, contributes to gender equality, empowerment, and poverty reduction substantially if and only if complemented by each producer organization's own policy and measures. The second major finding was presented at an international conference, titled Challenges Toward True Sustainable Development, and held at Tübingen University, Germany, on September 12–13, 2022. Third, the climate crisis was found not to be gender-neutral. In other words, female fairtrade farmers tend to be disproportionally affected more by climate change than their male counterparts do. Hence, the well-being of the former will not rise even if fairtrade contributes to gender equality and empowerment. Therefore, it was concluded that fairtrade needs to pay closer attention to the risks associated with climate change and its consequent natural disasters that female farmers have to cope with in particular. A paper titled Climate and Gender: How Can Fairtrade Contribute to the Buildup of Resilience? was written on the basis of the third finding.
*Okamoto, Y.(2022) Trade Governance to Realize Sustainability: Roles and Future of Sustainable Standards and Certificates, World Economic Review Vol.67 No.1: 63-71 (In Japanese).

Related SDGs:

1“No Poverty”
5“Gender Equality”
17“Partnerships for the Goals”

Creation of Green Commons through Bamboo Forest SDGs

SDG4 icon SDG15 icon SDG17 icon

Principal Researcher:OWADA Junko (Professor, Faculty of Policy Studies)

Research Outline

This study focused on the bamboo forest which has been characteristic local resources in Kyoto. The bamboo has the various charm including a bamboo shoot, becoming traditional crafts and household items, the use to buildings, bamboo forest scenery, and literature.
Otokuni district (Muko city, Nagaokakyo city, Ooyamazaki town) in Kyoto has history of the use of bamboo from the Heian era, is the production center of the high-quality bamboo shoot even today, and there is beautiful bamboo forest scenery.
The study raises three issues; 1) bamboo forest has been left untouched, 2) local residents are not understanding the value of valuable area resources well, 3) younger generations including the university students do not have enough interest and understanding to ecology of bamboo and ecological system and biological diversity in a city and an agricultural community.
In the project, student will quest indigenous knowledge of local farmers and academic knowledge of ecological system and a biological diversity from experts. Through activities of maintenance and the utilization of the bamboo forest where a student played a key role (SDGs 4: Quality Education). Also, this project aims at creating Green Commons (15: Life and Land, 17: Partnerships to achieve the Goals) with stakeholders.

Research Results

The "Creation of Green Commons through Bamboo Forest SDGs Project" focused on bamboo and bamboo forests, which are unique local resources in Kyoto. Bamboo has a wide variety of attractions, including bamboo shoots, traditional crafts, daily necessities, use in architecture, etc., bamboo forest scenery, and literature. It has also attracted attention in recent years as a material that can replace plastic. The Otokuni-area of Kyoto Prefecture (bamboo forests in Muko City, Nagaokakyo City, and Oyamazaki Town), the subject of this study, has a history of bamboo utilization since the Heian period (794-1192), and is still a center of high-quality bamboo shoot production. In Muko City, there is a beautiful landscape named "Bamboo Path," which is 1.8 km long with eight types of bamboo fences. A 2ha bamboo forests in Mozume, maintained and preserved by a citizens' group called "Yabu-no-Soba," which is active in the area, was selected as the field for the survey.
We used the framework of the "SDGs Future City" to organize the activities in the Mozume bamboo forest from the three aspects of environment, society, and economy. The environmental aspect includes restoration and prevention of neglected bamboo groves and landscape conservation, the social aspect includes conservation activities by citizen volunteers, and the economic aspect includes making bamboo shoots into menma (pickled bamboo shoots). As an integrated effort, the project positioned "creation of green commons utilizing bamboo forests".
Students participating in the project learned about indigenous knowledge from local farmers, collaboration skills from citizen groups, and bamboo ecosystems and biodiversity from experts through activities to maintain and utilize bamboo forests (SDGs Goal4: Quality Education). In addition, we worked with stakeholders to create green commons (Goal 15: Life On Land, Goal 17: Partnerships for the Goals). A booklet, "Bamboo SDGs Green Commons Booklet," was produced and published on these topics.

Related SDGs:

4“Quality Education”
15“Life on Land”
17“Partnerships for the Goals”

Garden-Based Learning and the Impact of Nature on University Students in Japan

SDG3 icon SDG4 icon

Principal Researcher:STEVENSON III William Robert (Associate Professor, Faculty of Social Studies)

Research Outline

The evidence is overwhelming. We are destroying the natural world on an unprecedented scale and threatening our own existence in the process. The international community established the Sustainable Development Goals with the belief that creating specific targets would help us save us from our own undoing. Fundamental to the goals is that a sustainable society is an ecologically responsible society. But research shows that to effectively care for the natural world we must first care about the natural world. This is a problem as studies indicate that young people are spending less time in nature. Japanese youth are no exception. If Japan is to achieve the Sustainable Development Goals, its youth must first reconnect with nature.
Despite an abundance of research on the impact of nature on primary school children, research on the effect of nature on university students have been limited. This study involves three groups of university students: students placed in a natural environment as part of university coursework (including a garden-based learning project), students that voluntarily place themselves in a natural environment, and students that do not spend significant time in a natural environment. Using a four-pronged methodology of self-reporting, observation, clinical data, and questionnaire surveys, this study explores the educational, health, and lifestyle impact of spending time in nature among Japanese university students with the goal of establishing evidence-backed curricular recommendations.

Research Results

Despite an abundance of research on the impact of nature on primary school children, few have looked at the effect of nature on university students. This study used a garden-based learning project to examine how time spent in nature impacts Japanese university students. The research was multidimensional, involving observations by the researcher, self-reporting by participating students, and questionnaire surveys. (The core group of participants included 17 members, gardening approximately six hours a week over the course of a year.) As anticipated, results showed a positive correlation between garden-based learning and an increased awareness of the natural world. In addition, despite long hours of physically demanding work, participants experienced an improvement in overall wellbeing. Unexpectedly, the community created around the garden played a role that seems to have been equally significant to the natural environment in nurturing this sense of wellbeing. In a failed attempt to substantiate these findings, heart rate variability readings were regularly measured among participants with the goal of evaluating stress levels at the garden versus a traditional classroom. In addition, for context, surveys evaluating perceptions of nature and time spent in nature were conducted among participating students (17) and the general student population (approx. 200). As expected, participating students spent more time in nature than the general population. The longer impact (more than one year) of garden-based learning on perceptions of nature and time spent in nature will be evaluated in future studies.

Related SDGs:

3“Good Health and Well-being”
4“Quality Education”

Exploring the value of the SDGs in Firms; Exploring Firm/Employee value calculations

SDG5 icon SDG8 icon SDG10 icon
Principal Researcher:
SUGAI Philip (Professor, Graduate School of Business)
Co-researchers:

INOUE Fukuko (Professor, Graduate School of Business)

YIN Yong (Professor, Graduate School of Business)


Research Outline

As the Sustainable Development Goals (SDGs) have evolved to become one of the most important and widely adopted frameworks to judge a company's commitment to sustainability initiatives, it is vital to understand if gaps exist between senior management and employee perceptions around these themes. The objective of this research project is to better understand how to measure the value that (1) senior leaders and (2) workers assign to achieving specific outcomes related to the UN's sustainable development goals 5, 8, & 10, and to compare these both inside of individual companies and across a group of 50 different companies in Japan.
Based on our previous integration of these 703 impact measures led to the development of six (6) specific themes related to employee value including (1) Diversity & Equity, (2) Fair Wages, (3) Health, Welfare & Safety, (4) Employee Development, (5) Employee Engagement, and (6) Human Rights (Sugai et al., 2021) . Achieving high performance levels across these 6 themes will enable companies to move to the highest stage of van Marrewijk & Werre's (2003) 5-stage model of corporate sustainability (CS) practices. However, it is still unclear as to which of these are most important in the eyes of company leadership and which in the eyes of employees. Are executives and employees aligned on these themes and their importance, or are there significant differences between them? And can we find differences between the level of alignment between senior executives and their employees on these issues and the firm's overall performance? This research aims to provide answers to these important questions.

Research Results

Research on the actual measurement of stakeholder value through the lenses of the Sustainable Development Goals (SDGs) was undertaken through the synthesis of a number of internationally recognized sustainability reporting frameworks. Research findings to date were presented at both domestic and international academic and business conferences, including the United Nations General Assembly Science Summit 77 (UNGASS77) held in a hybrid format from New York and the American Marketing Association (AMA) Summer Academic Conference held in a hybrid format from Chicago.

Related SDGs:

5“Gender Equality”
8“Decent Work and Economic Growth”
10“Reduced Inequalities”

Differentiation of Value Types in Generation Z and Consciousness of SDGs: For a Consideration of the SDGs Penetration.

SDG13 icon SDG14 icon SDG15 icon

Principal Researcher:TAKAHASHI Hiroyuki (Professor, Faculty of Commerce)

Research Outline

The purpose of this study is to clarify the differences in awareness of the SDGs among Generation Z (the generation of digital natives born after 1995). Specifically, we categorized Generation Z into several clusters (types) with different values, identified the types with high awareness of the SDGs, and examined marketing approaches to determine how the concept of the SDGs can be disseminated.
Especially, we will explore how communicating sustainability initiatives in the context of a company's core business activities can positively influence consumers' attitudes toward the company. First, we will focus on interviews with companies to extract elements of their sustainable initiatives. Second, we will then conduct a quantitative survey of all generations, including Generation Z, to determine which generations and segments of the population with values respond to sustainable initiatives and the SDGs.

Research Results

This study focuses on the relationship between Generation Z and local communities. Generation Z has different values and awareness, and naturally, they have different ways of interacting with the local community and society, as well as different levels of interest.
Therefore, based on the pre-survey, questions were designed, and a quantitative survey was conducted, not only on Generation Z but also on other generations for comparison, with a final valid collection of 2,794 samples. After conducting intergenerational comparisons and comparing the attitudes of the younger and senior members of Generation Z, we conducted factor analysis and cluster analysis on the values and consciousness items based on the characteristics of Generation Z, classifying them into five types, and clarifying the differences in attitudes toward the community, work styles, social activities, etc. for each type.
The results are as follows. The points that became clear were that Generation Z has a higher awareness of SDGs than other generations of "a society in which we cooperate with each other to achieve a single goal," "opportunities for quality education for all," and "a world in which men and women are equal," and that their willingness to express themselves through SNS and attachment to things, In terms of their working styles, the respondents want to work for a company that offers a full range of benefits (allowances, days off, medical coverage, loan programs, etc.).
The fact that the analysis by type of Generation Z showed differences in responses to the above points suggests that regional companies and local governments need to respond differently depending on the type of Generation Z, rather than lumping them all together.

Related SDGs:

13“Climate Action”
14“Life Below Water”
15“Life on Land”

Development of novel type of therapeutic agents for SARS-CoV-2 infections by targeting the receptor binding site of the CoV spike glycoprotein.

SDG3 icon

Principal Researcher:TAKAHASHI Miho (Assistant Professor, Faculty of Life and Medical Sciences)

Research Outline

Development of new therapeutic drugs for SARS-CoV-2 can contribute to achieve SDG 3, “good health and well-being for all ages”. The spike glycoprotein (S protein) is the major envelop protein of SARS-CoV-2 and is responsible for the receptor binding and viral entry into the host cell. The S protein contains the receptor binding domain (RBD), which recognizes the cell surface membrane protein, angiotensin-converting enzyme 2 (ACE2). The S protein exist as a trimeric on a viral membrane, enabling a multivalent interaction between the S protein trimer and ACE2. This multivalent interaction can markedly increase the binding affinity, and sometimes referred to as the “clustering effect”. Previously, we developed a multivalent peptide library, whose structure was customized to exert the clustering effect, and established a novel technique to screens the library to identify the tetravalent peptides that can specifically bind to a target molecule, such as Shiga toxin B-subunit pentamer, a component of the protein Shiga toxin that is the major virulent factor of enterohemorrhagic E.coli, and Hemagglutinin trimer, the viral coat protein of Influenza A virus. Using this technique, in the present study, we purpose to develop a novel peptide-based SARS-CoV-2 inhibitor by targeting the RBD of the S protein through multivalent interaction. This approach can be expected to produce new therapeutic agents for SARS-CoV-2.

Research Results

The development of new therapeutic drugs for severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) can contribute to the achievement of the Sustainable Development Goal 3 (SDG 3), “good health and well-being for all ages”.
The trimeric spike glycoprotein (S protein) is the major envelope protein of SARS-CoV-2 and is responsible for receptor binding and viral entry into the host cell. The S protein contains the receptor binding domain (RBD), which is essential to bind the cell surface membrane protein, angiotensin-converting enzyme 2 (ACE2). We previously developed a multivalent peptide library technique to identify the multivalent peptides that can specifically bind to target multimeric proteins. Using this technique, in this study, we developed a novel peptide-based SARS-CoV-2 inhibitor by targeting the RBD of the S protein. We targeted Phe486 residue of the RBD, as this residue plays an essential role in receptor binding, and screened multivalent peptide libraries synthesized on a cellulose membrane. We identified 10 peptide motifs that bind to the RBD with high affinities and specificities using this approach. At least three of these motifs efficiently inhibited the interaction between the RBD and ACE2. These peptides can be expected to become novel therapeutic agents for SARS-CoV-2 infection.

Related SDGs:

3“Good Health and Well-being”

Sustainable Local Communities: What can Jizō shrines in Kyoto teach us?

SDG11 icon
Principal Researcher:
TAKEUCHI Yukie (Professor, Faculty of Social Studies)
Co-researchers:

SATO Morihiro (Professor, Faculty of Letters)

TADA Minoru (Professor, Faculty of Policy Studies)

SANO Akiko (Associate Professor, Faculty of Culture and Information Science)


Research Outline

This study aims to investigate the practical knowledge handed down in Kyoto, which has sustained itself as a cultural city for over 1,200 years, and to make creative proposals for the community, art, and culture required for a sustainable city.
This study will focus on the Jizō shrines scattered throughout Kyoto, which are said to number more than 5,000. The Jizō shrines were located at the entrance of Chō, or a single block between two intersecting streets as a minimal unit of the city during the Edo period (1603–1868), but after the Meiji period (1868–1912), as the city of Kyoto was developing, they were moved to the center of the block. Since then, the Jizō shrines have existed as spiritual and physical symbols of the Chō community. Now placed together in a center used for rituals and disaster prevention, they persist as objects of faith that are protected, adored, and decorated.
We will conduct a historical, physical, and representational survey of the Jizō shrines and conduct field interviews with the surrounding community. We will approach the Jizō shrines from both the past and the present through historical, aesthetic, media-theoretical, and policy studies and explore the role of tacit knowledge, which is essential for a rich civic life.
We believe that this will provide new clues for solving the various problems facing local communities today. Based on these findings, we aim to formulate proposals for the realization of sustainable cities.

Research Results

The published booklet contains basic information on "Jizo shrines" in Kyoto, discussions at the "Considering 'Jizo-bon' and the Corona Disaster" symposium held as part of this project, and essays and discussions on the theme of "Jizo" by project members. In the basic information section, the book outlines what "Jizo shrines" are, how many there are in Kyoto, and how they have been familiarized with the general public, based on photographs and documents that are easy to understand for the average reader. The symposium page looks at the current state of "Jizo-bon," which is in crisis due to the corona disaster, and records the speakers' proposals on how to sustain the tradition in the future and what it means to sustain it.
There were several responses from symposium viewers and booklet readers. This response does not immediately lead to a solution to this problem. However, it does indicate that this project has some significance for the continuation of "Jizo Shrine" and 'Jizo-bon'.

Related SDGs:

11“Sustainable Cities and Communities”

Research on the development of a programme for fostering the next generation to contribute to forest conservation

SDG4 icon SDG13 icon SDG15 icon

Principal Researcher:URYUHARA Yoko (Professor, Faculty of Commerce)

Research Outline

The series of goals of this research is to develop and implement an educational programme and its evaluation indicators that will enable the next generation (primary school to university students) to take initiative in forest conservation action, which will directly contribute to achieving the SDGs (Goal 4, Goal 13 and Goal 15).
In this year's research, an educational programme, including a sugoroku-style game, will be developed to promote change, particularly among primary and junior high school students, towards the behavioural goal of 'taking an interest in forestry and forest conservation action, talking to friends and family about it and starting actions they can take'. It will be implemented in a number of regions and its evaluation indicators will be developed and tested.
The features of this research are that (i) it is based on social marketing methods and follows an interdisciplinary behavioural science theory and systematic framework, (ii) because it is a social implementation research, it can actually increase forest conservation behaviour and contribute to solving environmental problems such as CO2 reduction, and (iii) through implementation announcements and participation in activities, the (iii) through the announcement of implementation and participation in activities, the number of people involved in forestry can be increased.

Research Results

This research is relevant to SDG targets 4, 13 and 15. The goal of the series of studies is to contribute directly to the achievement of the SDGs by developing and implementing an education programme and its evaluation indicators that will enable the next generation to take spontaneous forest conservation action.
The research in FY2022 aimed to develop, implement and verify an 'educational programme including a sugoroku-style game' that would encourage primary school children to become interested in forest conservation action and to investigate the issue on their own. Furthermore, a video summarising the results was made, and a quantitative survey of 400 primary school teachers and 1,000 parents with primary school children was conducted to analyse the level of acceptance of the education programme and its future development.
As a result, an educational programme featuring the following was developed and demonstrated.
(1) Learning effects through gamification.
(2) Development in accordance with academic processes
(3) Ease of incorporation into classes, etc.
(4) Can be incorporated into local communities
(5) Forest education is also possible for facilitators.
79.4% of primary school teachers said they would like to incorporate the programme into their teaching and 83.6% of parents said they would like their children to receive the programme at school. Therefore, a manual and video for facilitators was developed. In the future, we would like to support the implementation of this programme and its verification.

Related SDGs:

4“Quality Education”
13“Climate Action”
15“Life on Land”

Ethical Consumption, Gender, and Basic Income

SDG1 icon SDG5 icon SDG12 icon SDG17 icon

Principal Researcher:YAMAMORI Toru (Professor, Faculty of Economics)

Research Outline

‘Shopping is voting’ is one of the most circulating slogans among ethical consumption activists in Japan. However, the right to shop is not equally distributed in the same way as the right to vote. In addition, ethical consumption not only takes a form of individual action which the metaphor of ‘voting’ tends to connote, but also takes a form of collective practices and movements.
An oral historical work on a working-class women's liberation movement in the long 1970s Britain, conducted by the author, reveals that they demanded a universal basic income, one of reasons of which is to be free from the enforcement to unethical production. The starting point of this research project is a hypothesis that the same or similar relationship between a universal basic income and ethical consumption can be found, either historically or theoritically.
The aims of this research is, firstly to identify several economic and social conditions which are necessary for people to consume ethically in a meaningful way (SDG target 12), secondly to elucidate economic and social policies to achieve them (SDG targets 1 and 5), and thirdly to explore a possibility of dialogues and practices towards their realisation (SDG target 17) by learning from history of practices (from social movements to literature and arts) as well as relatively new practices such as non-violent communication.

Research Results

The starting point of this research is the findings from my oral history project on the British working-class women's liberation movement, where these women demanded unconditional basic income, and one of reasons of which was to liberate themselves from engaging unethical production. Thus, firstly, I tried to elucidate how these women, who were at the intersection of the claimants union movement (SDGs target 1) and the women's liberation movement (SDGs target 5), articulated ethical production and how it (if any) related to ethical consumption (SDGs target 12). Secondly, I tried to lay out how the unique perspective hold by these working-class women is shaped at the intersection of gender (SDGs target 5), class (SDGs target 1), and other boundaries. Also I tried to trace how these women overcome the apparent difficulty to organise and mobilise themselves and to have the common demand given by this intersectionality (SDGs target 17). The research was presented at the international conferences at Tübingen university in September, and at the German Historical Institute Washington, in October, and accepted for an international academic journal. Thirdly, I interviewed people who are engaging in ethical production and in ethical consumption, in order to find a way to find social and economic condition for ethical production and consumption and to build partnership to go forward.

Related SDGs:

1“No Poverty”
5“Gender Equality”
12“Responsible Consumption and Production”
17“Partnerships for the Goals”