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トピックス

[Research News] 若手英語教員はいかに困難を乗り越え専門性を高めるのか

2026年5月13日 更新

若手英語教員はいかに困難を乗り越え専門性を高めるのか

― 多様な学習経験・メンター・省察の機会が教師成長を支援 ―

本研究のポイント

若手英語教員の成長を左右するのは、「学校現場」だけではない

過去の学習経験、恩師との出会い、留学経験が、教員としての専門性形成に深く関与

メンターとなる先輩教師との関係や、省察(リフレクション)の機会が、困難な教育環境でも成長を支える鍵であることを解明

教員志望者減少・離職率上昇が進む中、若手教員支援のあり方に重要な示唆

学校現場には、特に若手のTESOL(Teaching English to Speakers of Other Languages:英語を母語としない学習者への英語教育)教員にとって、教育実践を困難にするさまざまな制約が存在します。同志社大学グローバル・コミュニケーション学部の中田賀之教授らの研究グループは、若手TESOL教員3名を対象に、小・中・高校時代から大学、教員養成課程、教職初期段階に至るまでの専門的成長(professional development)の経験を追跡・分析しました。その結果、多様な学習経験やメンターとの関係、省察の機会が、困難な学校環境においても若手教員の成長を支える重要な要因であることが明らかとなりました。本研究成果は、2026年1月14日に学術誌 TESOL Quarterly に掲載されました。

英語は、科学、観光、ビジネスなど多様な分野で使用されるグローバル言語となっています。その学習を支える重要な存在がTESOL教員です。しかし、教職初期のTESOL教員は、自身の指導力への不安、学校からの支援不足、外国語教員としての立場の難しさなど、多くの課題に直面しています。そのため、彼らの専門的志向や葛藤、さらに困難な学校環境の中でどのように主体的に教育実践へ取り組んでいるのかを理解することは、教員の成長支援において極めて重要です。

研究の背景について、中田教授は次のように述べています。 「近年、英語教員を志望する学生の減少や、教員の離職率の上昇が課題となっています。そこで、教員志望学生や若手教員がどのような学びや困難を経験しているのかを理解する必要があると考えました。」

研究では、3名の若手中等教育TESOL教員を対象に、英語教員免許取得プログラム4年次に提出された省察レポートを分析とオンラインでのフォーカスグループディスカッションを通じた2段階でデータ収集を行いました。 分析の結果、小・中・高校時代の学習経験が、教職へのコミットメントに大きな影響を与えていることが明らかとなりました。たとえば、参加者の一人である「Fuga(仮名)」は、高校時代に映画や音楽、留学経験を通して英語と深く関わったことで、英語を単なる教科ではなく「重要なコミュニケーション手段」として捉えるようになりました。また、各教育段階で出会った3名の教師が、学習者を一人の人間として尊重し、実践的な英語学習を促していたことが、教職を志すきっかけとなりました。こうした経験は、現在の勤務校で理想通りの授業ができない状況にあっても、教育への意欲を維持する支えとなっていました。

さらに、現在の勤務校で経験豊富な教師をメンターとして得られることも、若手教員の成長に大きな影響を与えていました。例えば、「Saki(仮名)」は、若いからこそ生徒が話しかけてくれるのであって、信頼されているわけではないと感じていました。しかし、彼女は「信頼される教師」になりたいと考えていました。そこで先輩教師の姿を観察し、生徒一人ひとりを理解し、気にかけることの重要性を学びました。その結果、授業前後に悩みを抱える生徒へ積極的に声をかけるようになり、自身の理想とする教師像へ近づいていきました。

また、大学での学びや留学経験も、学習者・教師としての成長を促していました。「Yae(仮名)」は、留学先の大学で英語による自己表現の楽しさを実感するとともに、英語学習には多様な方法があることに気づきました。さらに、教育実習を通して「困難を学びの機会として捉える姿勢」が強化されました。そのため、現在の学校では他の教師のペースや指導スタイルに追いつくことに苦労しながらも、自分らしさを授業に取り入れようと努力しています。

本研究は、若手教員に対する支援ネットワークの重要性と、専門的成長を振り返る機会の必要性を示しています。

最後に、中田教授は次のように述べています。 「新任教員は、自らの悩みを率直に共有できる場を持つことで大きな支援を得られます。特に、過去に同様の経験をした先輩教員との対話は重要です。また、教員養成では、多様な学習経験や学校背景を持つ教員志望者同士が協働的に学べる環境づくりが求められます。本研究が、TESOLコミュニティにおいて学生・教員・教育者・研究者が互いに支え合うきっかけとなることを期待しています。」

  • 研究紹介_中田賀之先生(GC) _サムネイル (138853)
The Professional Development Journey of Early-Career TESOL (Teaching English to Speakers of Other Languages) Teachers

Early-career TESOL teachers face several constraints that make teaching challenging. However, factors such as diverse learning experiences in primary and secondary school, university, and study-abroad experiences, supportive mentors at the workplace, and opportunities for reflection can help them sustain motivation, navigate challenges, and grow professionally.

Image credit: Lumaxart from Openverse
Image Source Link: https://openverse.org/image/9753ae62-6208-46bf-88c0-d35ea6689c14?q=success+chart&p=7
License type: CC BY-SA 2.0
Usage restrictions: Credit must be given to the creator. Adaptations must be shared under the same terms.

Reference

著者名 Yoshiyuki Nakata, Xuesong (Andy) Gao, X., Takahiro Miyazaki
論文タイトル Subjectification and Chronotopes in Early-Career TESOL Teachers' Professional Development in Japan
掲載誌名/発行年 Tesol Quarterly, 2026
DOI https://doi.org/10.1002%2Ftesq.70057

関連情報 論文に関する詳しい内容は 研究・産官学連携のグローバルサイトに掲載しています。
本論文のリリースはEurekAlert!に掲載されました。
https://www.eurekalert.org/news-releases/1113964
お問い合わせ

リサーチ・イノベーション推進機構 URA

E-mail:jt-ura@mail.doshisha.ac.jp




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